11月の音を楽しむ会はソプラノの西田真以さんとバスのパオロアンドレア・ディピエトロさん、ピアノの中ノ森めぐみさんによる演奏会が開かれました。西田さんは昨年11月にも出演され今年はご主人のパオロさんが初出演です。今回はオペラとカンツォーネを披露していただきました。
1曲目カタラーニ作曲「ワリー」より”さようなら、ふるさとの家よ”。西田さんの美しい歌声が会場に響き渡り開幕から一気にお客様をオペラの世界へ誘うような演奏でした。
2曲目モーツァルト作曲「フィガロの結婚」より”もう飛ぶまいぞ、この蝶々”。フィガロの独唱をパオロさんが熱唱し、リズミカルな低音と軽やかな表情が特徴的でした。
3曲目ヴェルディ作曲「運命の力」より”神よ、平和を与えたまえ”。序盤の清らかなメロディーは静謐を讃えるようで、中盤からはピアノとの協奏で鮮烈な展開が繰り広げられました。
4曲目モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」より”手を取り合って”。西田さんとパオロさんの掛け合いが晴れやかで心温まる印象でした。
5曲目小林秀雄作曲「落葉松」。パオロさんの力強さと優しさのある声で歌い上げられた落葉松は今まで聴いたことのないような新感覚の秋を表現したように感じました。
6曲目マスカーニ作曲「アヴェ・マリア」は西田さんが祈りを込めるように歌い上げ、7曲目ロータ作曲「もっと静かに囁いて」は中ノ森さんの哀愁ある旋律と共にパオロさんの歌声が響き渡りました。
8曲目ララ作曲「グラナダ」は音で壮大な世界を表現した1曲だと感じました。華やかなメロディーが足取り軽くステップを踏むように会場を盛り上げていきました。
9曲目モドゥーニョ作曲「ヴォラーレ」はイタリアの美しい”青い空”を表現した聴きなじみのある有名な1曲。パオロさんの歌声がゆっくりと会場に広がり、揺り籠で揺れるような安らぎを感じました。お客様もリズムをとって横に揺れながら聴き入っていました。
10曲目ディ・カプア作曲「オー・ソレ・ミオ」は西田さんの高く鮮やかな歌声とパオロさんの低く艶のある歌声が融合した素晴らしい1曲でした。ゆっくりと歩幅を合わせて進んでいくように演奏する3人の絆を強く感じ、演奏後は会場から「BRAVO!」と歓声が上がりました。
アンコールはレハール作曲オペレッタ「メリーウィドウ」より”唇は黙して”。西田さんとパオロさんがダンスをして朗らかな雰囲気で歌い上げました。
3人の個性が表現された迫真のステージを披露していただきました。晴れやかな曲目が印象的で心温まる素晴らしい音を楽しむ会となりました。
次回の音を楽しむ会は12月26日(水)、中橋健太郎左衛門さんによるオペラです。
どうぞお楽しみに!
2018年11月26日月曜日
2018年11月3日土曜日
11月 新里 明士展
11月1日より大黒屋サロンにて新里 明士展が始まりました。
新里さんは岐阜県土岐市を拠点に制作を行っており、国内外で展覧会を開催し、最も注目されている作家の一人です。本展では代表作でもある蛍手(ほたるで)の技法を使った「光器」の作品と、青と緑の壁掛けの作品など34点展示しています。
白いうつわ「光器」は透光性の高い白い磁器土を使って無数の穴を穿ち釉薬をかけて制作されています。精緻で技巧的な仕事によって生まれる光の表情は豊かで美しく器自体がほんのりと光っているようです。
青と緑の作品は白い土にコバルトなど金属を混ぜた土を使って制作されており彫刻的な表現になっています。イタリアで滞在制作中に強い色を使いたいと思うようになり日本に戻り作り始めたそうで、新里さんが好きな色でもあるそうです。
新里さんは普段は陶芸のギャラリースペースで器を展示することが多いのですが、今回の大黒屋での展示では、新たな展開として彫刻的な作品も含め空間をより意識した展示をしたいという気持ちが強くあり、うつわという用途のあるものづくりや、技巧的な技術だけに頼らない作品としての表現を自身の制作の中に取り入れていきたいと考えておりました。
表現的な焼き物を目指して初めて制作されたという壁掛けの作品がサロン正面にあります。自動筆記のように身体や手の成るがままに作っていくそうで、左から順番に制作過程が追えるように展示されています。偶然性が伴うフォルムは土の質感、色、制作にかかった時間も含め、光る器の対比として見てもとてもおもしろい構成です。
また信楽滞在中に制作した作品「シガラキ」。
大黒屋の空間全体を大胆に使い庭にも置かれた風景はとても新鮮です。
丁寧で美しく理性的な作品や身体全身を使ったアクティブで感覚的な作品など幅広い内容のある本展、新里さん自身曰く「チャレンジした仕事による展示」は見所満載となっています。
作家によるアーティストトークは11月19日(月) 20:00-21:00。
展示は11月29日(木)まで開催しております。紅葉が美しい日が続いております。
ぜひ大黒屋までお運びください。
「光器」 |
白いうつわ「光器」は透光性の高い白い磁器土を使って無数の穴を穿ち釉薬をかけて制作されています。精緻で技巧的な仕事によって生まれる光の表情は豊かで美しく器自体がほんのりと光っているようです。
青と緑の作品は白い土にコバルトなど金属を混ぜた土を使って制作されており彫刻的な表現になっています。イタリアで滞在制作中に強い色を使いたいと思うようになり日本に戻り作り始めたそうで、新里さんが好きな色でもあるそうです。
緑の形 |
また信楽滞在中に制作した作品「シガラキ」。
大黒屋の空間全体を大胆に使い庭にも置かれた風景はとても新鮮です。
シガラキ |
作家によるアーティストトークは11月19日(月) 20:00-21:00。
展示は11月29日(木)まで開催しております。紅葉が美しい日が続いております。
ぜひ大黒屋までお運びください。