2020年10月26日月曜日

第208回 音を楽しむ会

 10月の音を楽しむ会は声楽家 森田克子さんとピアノ 沢里尊子さんによる演奏会を行ないました。

まずは朗読ミュージカル(ピアノ一台だけの舞台でたった一人で本を手に朗読し、何人もの人を演じ分け、そこに歌が入って聴いてくださる方を物語の世界へ誘うというもの)、宮部みゆき原作 山崎陽子脚色 小川寛興作曲「器量のぞみ」を披露していただきました。

ヒロインお信は大女で醜女(しこめ)、おまけに幽霊まで登場する世にも不思議な物語。人として真に大切なものとは・・・という内容で、森田さん演じるチャーミングなキャラクター達が織り成す展開に沢里さんの演奏がドラマティックに物語を彩っていました。

秋の歌として、横井弘作詞 小川寛興作曲「花と若者」、斎藤信夫作詞 海沼実作曲「里の秋」を披露。秋の陽光の温かさ、これから冬がくるという刹那の緊張感が心地よく音楽から感じられました。

また沢里さんがオカリナで「もみじ」を演奏、お客様から優しいハミングが聴こえたりと会場が穏やかな雰囲気に包まれました。

最後にMiyabi作詞 松村宗継作曲「いのちの歌」を披露、森田さんが溢れ出る思いを歌にのせて、沢里さんが思いに寄り添うように音を奏でていた姿がとても印象的でした。

森田さんと沢里さんの人間味溢れる温かい音楽世界を堪能できた音を楽しむ会となりました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。


次回の音を楽しむ会は11月26日(木)、中橋健太郎左衛門さん率いる大黒屋オペラ です。  どうぞお楽しみに!



2020年10月1日木曜日

2020年10月 上野友幸展 「花蝶風月」

10月1日より大黒屋サロンにて、美術家 上野友幸さんによる個展「花蝶風月」が開催されております。

上野さんは、東京芸術大学大学院先端芸術表 現修士課程修了後に渡独。ベルリン芸術大学にてマイスター課程を修了。現在もドイツ・ベルリンを拠点に活動しています。日常的に存在するものの形態やイメージと歴史的な彫刻的構造や 絵画的イメージを対峙又はミックスさせることで、イメージや彫刻が認識に与える原理、特性について探求しています。 


上野さんは、自身の作品制作について以下のように述べています。

「私たちの日常に存在する「形態」と、歴史的な「彫刻の構造」を重ねることで、芸術にリアリティーを与え、同時に日常の眼差し(認識の枠組み)を変えたいということが、私の作品制作における動機である。通常、我々は世界を認識するときに自分と世界、自分と他者のように二元論で考えているのではないだろうか。それに対して、禅の教えでは自分も世界も他者も全てが一つであると捉えると言われている。それは食を通して無数の命を自身に取り込むように、生と死が繁殖とともに繰り返されるように、人も空気も宇宙の全てが分子で構成され、その分子が入れ替わっているように、世界が一つだと捉えることは理にかなっている。しかし、我々の知識は物事を分けて、そして対立させることで成り立っている。」

大黒屋では初めての個展となる本展では、近年手掛けている大理石プレートとアクリルマウントの写真を組み合わせたシリーズや、化石の彫刻シリーズなど、新作11点を含む全18点を展示いたします。この機会に、ぜひご高覧いただけたら幸いです。

会期:2020年10月1日(木) − 10月30日(金) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日: 1,2日
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。