10月の音を楽しむ会は志野流香道21世家元継承者 蜂谷宗苾さんによる「聞香の会」が行われました。香道では香りを「かぐ」ことを「聞く」といいます。
はじめに蜂谷さんがお手前を披露。灰の山(の中には火種がある)を作り頂上に雲母(を銀葉という。昔は雲母の熱伝導がよいことが分からなかったため金や銀を使っていたそう)をのせた上に香木を置き左手で器を持ち右手でカバーし香りを3回聞きます。
山の高さ1mm単位で香りが変わり、季節(の温度、湿度、状況性)によっても変わるとのこと。また香木の性格によって火加減(山の高さ)を調節する極めて繊細な技術も必要だそうです。香木によって火種から山の頂上までの高さが何mmと決まっているそうで技術の追求に終わりはなく蜂谷さんのお父様も「香道をものにするには一生では足りない、三生必要だ」とおっしゃったそうです。
お香の名前は香りを聞き自分の中で生まれた映像イメージと和歌集のイメージと合致するものから決めるそうです。
お客様にも伊達政宗が名付けた「柴舟」など3種のお香を聞いていただきました。
流派の数が茶道70 華道が1000あるのに対して香道は2つしかなく蜂谷さんはその1つ志野流香道21代目として500年の歴史を持つ家に生まれました。
「実際に話したことがあるのは19代祖父 20代の父だけですが、父は祖父から 祖父は曽祖父から 曽祖父はさらに...教えを受けているわけで初代までさかのぼる20人の先代たちと話をして思いを 心を通わせている感覚がある。」と語る蜂谷さんの声には500年の歴史の重厚さ 深さが感じられました。
香りを感じる嗅覚は五感の中で最も動物的 感情的な感覚で(記憶とも深い関係があり)香りの情報だけの世界はイマジネーションな"創造性"のある世界だといいます。
「生きている全てに心が宿っていて自然界には無数の魂がある、だから自然界は大きく強くそれに比べたら人間の存在はとても小さいもの。心をこめて作法をすると香木が答えて良い香りを出してくれる。植物にも心が宿っていて人を見ている」
一人で香木と向き合い精神修行を続け道の世界で生きている蜂谷さんの言葉から自然を畏怖し尊敬する日本文化の真髄が感じられました。
「香道とは心の耳で自然界が語ることを聞くこと。
地球からのメッセージを香木から聞くこと。
私の目標は"香りで地球を包む"ことです。
地球から戦争 紛争がなくなり世界が平和であることを願っています。」
次回の音を楽しむ会は11月26日(日)ソプラノ西田真以さんです。どうぞお楽しみに!