2018年7月29日日曜日

第184回 音を楽しむ会


7月の音を楽しむ会は志野流香道21世家元継承者 蜂谷宗苾さんによる「聞香の会」が行われました。昨年に引き続き2回目のご出演です。プロジェクターで映像を見ながら香道についての説明があり、お手前を披露していただきました。


香木は日本で入手できずベトナムやラオス、カンボジアなど東南アジアで採取できるそうです。育つには100~200年かかり、ジャングルの中から原住民の方に採ってもらう、とのこと。香木がいかに貴重な素材であるかが分かり、香道が茶道や華道と違って限りがある文化だという緊張感も感じました。




動物や植物、虫や花、香木1本にも心があり人間を見て声を発しているそうで、香を聞く時は自然に任せ心の耳を澄ますことによってその地球がつくりあげた声、自然の声が聞こえてくるといいます。とくに蜂谷さんは香を聞く時に先祖の方々と対話をしている感覚があるそうです。21代目の家元として生まれ500年の歴史を背負っているからこそ、香の中に人の魂を感じることができるのではないかと思いました。人が自然になって語りかけるという日本文化的精神を感じた一場面でした。



蜂谷さん曰く「香りを聞く時、手の中に小宇宙を感じる」という体験をお客様にもしていただきました。3つの香のうち1つだけ違う香を聞き分けて当てるというゲームを行いました。お客様が順番に香りを聞き分けていく中、会場が仄かな優しい香りで包まれていきます。香りを聞くと、どこか懐かしい記憶の旅に出ていくような、暖かい場所に帰ってくるような感覚になりました。お客様もリラックスされたご様子で自然と笑みがこぼれていました。


「自分は香りの使者だと思っています、香りを聞いて皆さんに笑顔になってほしいです。人と人、国と国を繋ぐことで地球が丸く包まれる。香りで包まれた世界で戦争がなくなりずっと平和であればいいなと思います。そしてシンプルにいうならば、自然をものを人を心を大事にすること、愛情を持つことが重要ではないでしょうか。」

今回、聞香を体験して人は香を聞くと優しい気持ちになれると実感しました。蜂谷さんの仰るように世界はもっと優しくなれるのではないかと思います。海外でも幅広く活動しておられる蜂谷さんの姿を見て、その日は近いのではないかと希望を強く感じる「聞香の会」でした。





次回の音を楽しむ会は8月26日(日)、ヴァイオリンの漆原直美さんです。
どうぞお楽しみに!