1月の音を楽しむ会は国際的に活躍している菅野潤さんによる演奏会が行われました。
1曲目モーツァルト作曲「ピアノソナタヘ長調 KV332」は菅野さんがずっと弾き続けている楽曲だそうです。軽やかなステップと美しいメロディーライン、哀愁を感じる情緒性、そして華やかなリズムなど多様な構成の楽曲で、大黒屋の静かな雪景色に刻まれる旋律を聴くと心が安らぐようでした。
2曲目シューマン作曲「アラベスク」。2つの大きな旋律が時には交差してぶつかり弾け合い、時には融和して溶けていくような躍動的な楽曲でした。
3曲目ショパン作曲「夜想曲嬰ハ短調」「夜想曲変ニ長調」。日が落ち夜の暗闇に溶けていく板室の景色の中、旋律が朧げな気配を纏いつつ徐々にその美しい音が浮き彫りになり最後は綺麗な夜空の星々のように煌めくようでした。音を聴いて幻想的な世界がはっきりと見えたことに感動しました。
4曲目ラヴェル「なき王女のためのパヴァーヌ」は菅野さんの思いが織り込まれていくように音が紡がれていく淡く温かい楽曲でした。庭をふと見ると暗闇に沈んでいく青白い景色が美しく映え、音から強い精神性を感じました。
5曲目ドビュッシー作曲「版画」は音が質感と立体感を持ち物質的に存在しているかのような楽曲でした。一音一音が雫のように一滴一滴精神に沁み入るようで、心をグッと鷲掴みにする世界観が表現されていました。
ピアノの音だけで圧倒的な世界観を表現した菅野さん、板室の雪景色を見ながら美しく温かい旋律を堪能できた音を楽しむ会となりました。
次回の音を楽しむ会は2月26日(火)、テノールの猪村浩之さんです。
どうぞお楽しみに!