2022年12月17日土曜日

2022年12月 中村 功 展

 12月17日より大黒屋サロンにて「中村 功 展」を開催しております。


 中村功さんは徳島県那賀町拝宮という標高600m、四国の南東部を流れる那賀川の支流に沿った自然豊かな山間地で拝宮和紙の伝統を守りながら制作を続けております。
 和紙の原料となる楮から自身で育て、拝宮の地を流れる上質な水を使い、化学薬品や機械は一切使わず一枚一枚昔ながらの技法で作っていらっしゃいます。


 20196月に大黒屋で初めて個展を開催した以来、今回で2回目の展示となりますが、本展は中村さんが和紙に描く絵にスポットを当てた展示となります。中村さん本人も初めてとなる試みですが、毎年干支の絵を描いているその絵がなんともユニークだったので今回は特別に絵の展示として開催することになりました。



 年末年始の会期ということもあり様々な干支の様々な’表情’をお楽しみいただけたら幸いです。また伝統的な和紙の原紙や普段の生活にも使いやすい便箋、封筒、懐紙、一閑張の花器、敷板、ライトスタンドなども一部展示販売いたします。この機会にぜひお越しください。

 

会期 : 2022 年 12 月 17 日 (水) - 1 月 9 日 (日) 9:00 - 17:00           
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。




2022年11月26日土曜日

第228回 音を楽しむ会

2022年最後の音を楽しむ会はヴァイオリニストであり、多楽器演奏家でもある新村隆慶さんによる演奏会でした。


今回はヴァイオリンだけではなく、フィンランドの民族楽器であるカンテレ、トイピアノ、古楽器サルタリーなどを使い、自作のオリジナル曲と即興曲を15曲演奏して頂きました。


それぞれの楽器、楽曲の音色で様々な情景を想像させてくれる新村さんの演奏。


暗い森の中を駆け抜ける情景や野原や海辺で風を感じている情景など、沢山の情景を想像させてくれました。


演奏会の後半には、楽器の他に、鈴、水の音など複数の音をルーパーという機材を使い、組み合わせ、アンプで流すという特殊な演奏形態を披露して頂きました。


「ヴァイオリン」

「サルタリー」

「カンテレ」

「トイピアノ」

「アンプ」


ただ、楽器を演奏するだけではなく、音を組み合わせたり、身の回りにある音を使ったりと「音の実験」を見ているような、不思議な時間でした。




次回の音を楽しむ会は2023年1月26日、チェロ 黒川正三さんによる演奏会です。

どうぞお楽しみに!

※ 2022年12月の音を楽しむ会は「休演」です。

2022年11月2日水曜日

2022年11月 小山厚子展

 11月2日より大黒屋サロンにて「小山厚子 展」を開催しております。


 岡山県、備前焼の中心地である伊部に工房を構え、父、小山末廣氏とともに作陶されています。六古窯の一つでもある歴史ある備前焼は、釉薬を一切使用せず、絵付けもしないというシンプルな焼き物。1200~1300度の高温で焼き、土の性質や、窯への詰め方、窯の温度の変化、焼成時の灰や炭などによって模様が生み出されます。備前焼は、高温で約2週間焼き締めるため「投げても割れない」と言われるほど堅く、すり鉢や、大きなカメ、壷が多く作られてきました。また、微細な気孔があり通気性に優れているため、切花が長持ちする花器としても知られています。 



 備前の女流作家としても多くのファンがいる小山さんの作品は、独特の轆轤使いによって歪んで見えるようでバランスの取れた、微笑ましくもあり渋い佇まいは唯一無二の存在感。他の作家には真似できない独自の作風を築き上げられています。 


 2019年以来3年ぶりとなる大黒屋での個展。本展では備前らしい、緋襷、カセ胡麻、窯変のきいた作品から、備前の土を使って作られる織部、灰釉、また近年制作されている磁器、ガラス釉の作品など200点弱、多様な仕事がご覧いただけます。渋い備前の花器や酒器は魯山人の作風を彷彿とさせるような作品に、カラフルでポップな動物の作品が共存する世界観をぜひご高覧ください。

 

会期 : 2022 年 11 月 2 日 (水) - 11 月 27 日 (日) 9:00 - 17:00
作家在廊日:11 月 2 日                 
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。

2022年10月26日水曜日

第227回 音を楽しむ会

 10月の音を楽しむ会は独立研究者 森田真生さんによるトークライブ「数学の演奏会〜遊びながら考える〜」を行いました。

普段は京都を拠点に研究・教育・執筆のかたわら、国内外で「数学の演奏会」や「数学のブックトーク」などのライブ活動をされている森田さん。今回は、「習慣の変化」について話して頂きました。

日常生活で、「今やっていることは誰かのために、ないしは自分のためにもなっているのだろうか」と悩み、考える時が一度はあると思います。しかし、森田さんは「自分の営みがどこかで誰かのためになっている」、ここに生態系の面白さがあると言います。

この面白さを、大黒屋では10月末から見頃を迎える紅葉に例えて以下のお話をされました。

人は植物の色彩を見て感動しますが、植物は人を感動させるために色付いているわけではありません。冬支度をするために、葉のクロロフィルを分解して養分に変え、活動エネルギーを幹に送っているだけだそうです。つまり、植物が生きるためにしていたことが、結果的に、人を感動させることに繋がっているのです。 

「習慣にある自由を解きほぐしていけば、生きているとより実感できるのではないか」と仰られた森田さん。日常生活にある小さな違和感にも目を向け、「思考」し、習慣に変化が生まれる。その習慣の変化の中に生活を豊かにするヒントがあるのではないかと感じた音を楽しむ会となりました。





次回の音を楽しむ会は11月26日、ヴァイオリン 新村隆慶さんによる演奏会です。

どうぞお楽しみに!


2022年10月6日木曜日

2022年9月 五月女哲平展

 9月30日より大黒屋サロンにて、五月女哲平さんの個展「入口のないかたち 」を開催しております。


 大黒屋では初めての個展となる本展は、近年発表してきた作品群に新作を加えた全19点で構成されます。五月女は、1980年栃木県生まれ、東京造形大学美術学部絵画科卒業。初期は立体作品を手がけおりましたが、2009年頃からは絵画を中心に、時に立体や写真など織り交ぜながら作品を発表しています。変形キャンバスの使用や壁かけ以外で展示する方法、映像なども手掛けつつ、アクリルや写真、ガラス、シルクスクリーンなどの異なるメディウムの積層から作品の成立を試みるなど、絵画の物質的/概念的な解体と再構築を繰り返しながら、そこに自身がとらえた事象を介在させ、現代における絵画の在り方を模索しています。また2011年の東日本大震災後に、それまでの鮮やかな色彩を排した作品を発表して以降は、モノクロや黒を基調とし、モチーフを使うことをやめ絵画の要素を排除していくような作品を制作しています。


 単にモノクロームな色でミニマルに描かれる単純で無機質な絵画のようであるが、実際にはさまざまな色(薄く溶いたアクリル絵の具)を塗り重ねた後、最後の層に無彩色を塗ることで、積層された色を覆い隠すように制作されています。そこには目に見えないものへ意識を向けさせるような作家の意図が感じ取れます。本展「入り口のないかたち」では、栃木県にある渡良瀬遊水地で撮影された写真と絵画を織り交ぜた作品「燃え湿るかたち」や、近年手がけている立体作品、最新の平面作品などで構成されています。近年の五月女の仕事が垣間見える展示となります。 この機会にご高覧いただけたら幸いです。 
 

会期 : 2022 年 9 月 30日 (金) - 10 月 30 日 (日) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日 : 9 月 30 日、10月30日