2017年6月19日月曜日

宮澤章 アートを語る会

 現在サロン展示中の宮澤章さんによるアートを語る会が行われました。



  宮澤さんは秋田出身。大学は教育学部で、油絵を描いていましたが陶芸に方向転換しました。油絵は画面に世界観を作るものの、裏返すとただのキャンバス地があるだけで、自身で実感のある制作にできなかったとのこと。教員になるという道もありましたが、父親の反対を押し切り、陶芸家を志したといいます。


 今回の積化象嵌の器の作り方を実際に粘土を使って見せてくださいました。型を当てて底を作り、その上に花器の穴となる部分、中の柱を作ります。それから周囲の壁になる部分をアーチ状にした粘土で少しずつ囲っていき、形が出来ていきます。
 粘土の硬さや渇き具合を見てじっくりと積み上げ、丹念に作られています。


 やきものは、手をかけて育てた子どものようであり、作っていたときの自分の存在の証でもあります。


 インターネットやスマートフォンが普及してきた現代、人はリアル(現実)の世界にいるのか、バーチャル(虚)にいるのかということを疑問に思うそうです。
 電車の中でスマホをずっといじっている高校生。SNSの反応を気にする人。この人達は今どこの世界にいるのか。
 その時 その場所でしか感じられないことがあり、今その瞬間を生きているということ。
 人としてはどちらが幸せなのか。


 実感をもって制作した ひとつひとつに、宮澤さんが生き生きと取り組んできた姿が垣間見えます。
 宮澤さんの陶展は6月29日(木)までです。ぜひお運びくださいませ。