眩しい陽ざしに映える板室の木々の緑と調和するようなヘンデルの歌劇「セルセ」より”なつかしい木陰”をオープニングで披露、太陽の香りを運ぶ風のように爽やかな曲でした。
プッチーニの歌劇「トゥーランドット」より”お聞きください、王子様”と「蘇州夜曲」は曲の背景が中国という共通点があり北村さんがこの2曲を編曲して演奏されました、オペラと歌謡曲が相互に魅力を引き出し合う様子は北村さんと松原さん御二方の関係にも見て取れて相乗効果で曲のメロディーが響き合うように感じました。
昭和28年の「君の名は」と質問に答えるようにプッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」より”私の名はミミ”を披露、ピアノと歌声から湧き上がる音楽の流れはまるで滝のように壮大に涼しげに会場に響き渡っていくようでした。
ピアノソロ、ファリャの「恋は魔術師」より”火祭りの踊り”、音の屏風がリズミカルに生み出され続けていくように美しく華やかな展開が最後まで繰り広がり、夜空に燃え上がる炎が情景として鮮烈に残る曲だと感じました。
「川の流れのように」ここまでの楽曲演奏で築きあげた音楽世界を綺麗に包み込む極光のように弧を描き重なり音楽が輝いて心に染み入る歌声が印象的でした。
松原さんが幼少の頃から大好きで歌っていた「ブルー・ライト・ヨコハマ」とロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を融合した曲を披露、この2曲はコード進行が似ていると北村さんが発見したそうで、曲の最後には必殺仕事人のテーマがさらりと組み込まれておりユニークな楽曲でした。
「銀座カンカン娘」ではお客様と一緒に歌う場面があり会場は盛り上がっていました。
ピアノソロ、”男はつらいよ”変奏曲、曲の合間にモーツァルトやショパンの楽曲が織り交ぜられカラフルな音色の水滴が跳ねるように音の質感を感じる曲でした。
最後は歌姫をテーマにした「喝采」とプッチーニの歌劇「トスカ」より”歌に生き、恋に生き”、悲しい歌姫を形作るように感傷的なメロディーと心を抉られるような迫真の歌声が印象深く、演奏会の余韻を残しながら音楽が会場に響いていきました。
北村さんの楽曲編曲による音楽の新しい楽しみ方と松原さんのすき透るように響く歌声を堪能できた音を楽しむ会となりました。
次回の音を楽しむ会は6月26日(水)、中橋健太郎左衛門さんによる大黒屋オペラです。
どうぞお楽しみに!