2020年6月17日水曜日

2020年6月 梶原 靖元 + 山本 亮平 展

6月1日より大黒屋サロンにて「梶原靖元 + 山本亮平 展」が開催されております。


梶原さんは、長年、古唐津の復元に向け研究、実践を精力的にしながら、唐津焼きの起源ともいわれる飯洞甕窯跡の近くに当時の唐津の窯を参考に再現した窯(割竹式登窯)を構え作陶されています。梶原さんの古唐津に対する姿勢は、”梶原以前と以後では古唐津の見方、認識が変わった”と言われるほどです。それは古唐津の原料は元来、粘土であるという通説に疑問を抱き、自らの窯跡、陶片などの調査研究を通し砂岩が本来の古唐津の原料であったという仮説を立て、自ら近辺の砂岩を採取して砕いて土をつくり制作を繰り返し実証してきました。今では砂岩が唐津焼きの本来の原料であったことが多くの方に認識されています。現在は「古唐津研究会」会長を務め、今の唐津において大きな牽引役を担っておられます。


山本さんは、梶原さんの制作姿勢に共感、影響を受けた次代の作家の一人で、現在は初源伊万里を多く産した小物成窯跡近くにて作陶されています。梶原さんが主に古唐津(1560〜1630年代)を手掛けるのに対し、山本さんはその古唐津時代から初源伊万里へ移行(白くて綺麗な白磁は人気であったため古唐津は衰退)する狭間にあたる初源伊万里と言われる(日本で最初の白磁)焼き物に関心を持たれています。原料は違うのに古唐津と磁器を同時にまた同じ技法で焼いていたといわれる初源伊万里。昨年末、これまで以上に日本での磁器誕生の瞬間はどういうものだったか、当時の思いを想像しながら体現すべく自宅近くに、当時使われていた唐津初期の窯跡を参考に割竹登り窯を完成させました。



400年以上前の陶工たちがどうやって作陶していたかを想像しながら、徹底的に、作陶の基本原理、窯作りから焼成方法、土、石、釉薬などの原料の選別を体現するところに梶原さん、山本さんの作品の魅力が詰まっているように思います。作品の形、質感などの写しではなく、作陶に対する行為、精神性が投影されているところに大いに魅せられます。


大黒屋でのご紹介は初めてとなるお二人、梶原さんは過去の作品から最新作まで茶碗や酒器、鉢などのお皿、近年手掛けているオブジェや文具を展示。山本さんは、お皿、鉢、酒器、花器などの染め付けの作品、無地のうつわ、昨年完成したばかりの窯から、新たな試みとして釉薬のかかっていない磁器などの作品を展示いたします。ゆらぎあるお二人の滋味深い美、ぜひお手にとってゆっくりご覧いただければ幸いです。


会期:2020年6月1日(月)− 6月29日(月) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日 梶原:15,16日  山本:13,14日
会期中の休館日:9,10,11, 24,25日
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。