2019年10月29日火曜日

第199回 音を楽しむ会

10月の音を楽しむ会はチェロ黒川正三さんとピアノ黒川文子さんによる演奏会が行われました。


バッハ 無伴奏チェロ組曲第一番よりプレリュード、クラント、メヌエット。黒川正三さんのチェロソロ演奏、秋の宵に向かう板室にゆっくりと静謐な音色が響き渡り、会場のお客様を音楽世界に惹き込んでいくようでした。


黒川文子さんのピアノソロ演奏、ショパン 幻想即興曲。会場を舞踏するように旋律がぱっと煌びやかに鳴り渡り、二人の音色を一緒に聴いたら素晴らしいだろうな、と次から始まる演奏が楽しなる予感がしました。


お二人の演奏によるグリーグ チェロソナタ。ノルウェーの自然を想起させるような3楽章からなる楽曲の中には、森の木々の隙間に吹く風や琥珀色の草原の上を飛んでいるかのような景色など音楽からイメージが感じられる部分と、お二人の演奏する凛とした姿が目に映って鋭い弦と鍵盤の音が心にグッと響く部分とがありました。最終盤では曲のイメージとお二人の姿が同時に目に映るようなドラマティックで美しい音楽世界が展開されました、素晴らしく感動しました。


アンコールは演奏会の余韻を残すように爽やかできりっとした「白鳥」と、じっくりと味わうように濃醇な「ヴォカリーズ」を披露していただきました。
お二人の音楽の魅力を存分に堪能できた素晴らしい音を楽しむ会でした、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。




次回の音を楽しむ会は11月26日(火)、蓮沼執太さんです。
どうぞお楽しみに!

2019年10月14日月曜日

10月 小山厚子 展

10月1日より大黒屋サロンにて「小山厚子 展」が開催されております。


小山厚子さんは、岡山県、備前焼の中心地・伊部に工房を構え、父、小山末廣氏と共に作陶されています。生まれ育った備前の土の魅力を引き出すことに向き合い、土と対話するかのような独特の轆轤使いによって歪んで見えるようでバランスの取れた、微笑ましくもあり渋い佇まいは唯一無二の存在感です。近年は、備前の土を活用した色絵、粉引、志野など様々な作品を発表し注目を集めています。


今年で作陶20年目、「作ることが好き」だと語る小山さん。釉薬を使わず焼き方によって変化をつける備前焼は焼きによる生地の”ぬけ”(器を重ねて焼いた時に出る表情)が綺麗かどうかなど素材の土の自然な味わいを引き出すことが大切だと言います。


轆轤制作は「ひきながら良い形、面白い形を見つける」、手の感覚を辿りながら直感的に悩み探究する作業を繰り返す様は問答のようなもので学びの結果として形が表れることは制作の喜びにも繋がっているそうです。


先に手が動いて作られた形に後で名前をつけたという動物シリーズは今年の夏500体制作したそうで、新しい仕事は短時間で行い一瞬の感覚を見ること、”今”に反応することを常に意識していると言います。


本展では、今までの作品を掘り出して時間が経って見るとまた違う見方ができて新しいものを作りたくなる、という小山さんの創作活力に満ちた作品群、緋襷、窯変をはじめ、人気の銀彩や粉引色絵、紅志野など、10年以上前に制作したものや最新作など合わせておよそ130点を展示いたします。備前の文化と小山さんの独創性が融合した器をぜひ会場で手にとってご覧いただければ幸いです。

会期:2019年10月1日(火)− 10月30日(水) 9:00 - 17:00