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2019年5月31日金曜日

re:planter 村瀬 貴昭 展 公開植栽「Live-planting」

「re:planter 村瀬貴昭展」は昨日終了しました。会期中は多くの方にご来館いただきありがとうございました。
昨夜は、展覧会のクロージングイベントとして、特別に村瀬さんによる公開植栽「Live-planting」を開催いたしました。アンビエントな音楽が流れる中、道具を巧みに美しく扱い植栽する姿は茶道のお点前を見ているような。美しい時間が流れました。





今回、大黒屋では初めてとなる植物の展覧会、新緑の季節でもありスペースコロニーの中の植物たちも元気に育ち、水やり、剪定などお手入れしながら楽しい一月間となりました。









2018年10月21日日曜日

八木史記 アートを語る会

現在サロン展示中の八木史記さんによるアートを語る会が行われました。これまでの生い立ちと作品制作の関わりについてお話していただきました。


岩手県盛岡市出身、宮城県仙台市在住の八木さんは小さい頃から漫画など絵を描くことが好きだったそうです。宮城教育大学では彫刻研究室に入り石膏型取りでの人体塑像を制作していました。大学院まで制作を続けましたが石膏での制作に限界を感じ、様々な素材を使って試す中でセメント、コンクリートが自分に合うと思ったそうです。


少年時代、盛岡の住宅地に住んでいた八木さん。日が暮れた暗闇の中、学校の近くにある東北新幹線の橋脚が連なる風景を見て自分がとても小さい存在だと不安感、絶望感を感じたそうです。冷たく無機質で巨大なコンクリートの塊に圧倒された原体験がセメントを素材にした制作の基になっているといいます。



最初の頃は動物や花を造形しており器好きということで徐々に器の形も制作していきました。次に近年多発している自然災害をテーマに自然や大地の形である樹木を作り始めました。制作の構造として自然と自分が対比される関係性があるといいます。最新の制作として蔦が建築物を覆っている様子を形に変換したものがあります。人間が作ったものを自然が侵食していくようなイメージの壁掛けの作品は本展のために新しく生み出したスタイルです。



人間が作ったコンクリート、無機質で冷たくぶっきらぼうで無生物、意思を持たない存在に得体の知れない不気味感を以前は感じていましたが、年を経るごとにその印象や考え方が変わっていき、あえてその冷たい素材を使って安らぐ雰囲気を作りたいと思うようになったといいます。不気味な感覚を安らぎに変えたい。「感じ方は生まれた年代や育つ環境によって変わるもので自分のリアルな感覚で制作をしていきたい」とお話しました。人工と自然、相対する要素の間で感覚を磨いてきた八木さん独自の感性による考えを聞くことができたアートを語る会でした。


「アートは自分にとってなくてはならないもの」と語る八木さん、最後に○△□に言葉を入れて表現していただきました。
○=間
△=バランス
□=緊張
緊張感のあるモノの構成で作品を制作し、空気感、雰囲気のある場でを生み出し、全体のバランスを大事にしていきたいです」



八木史記さんの展示は10月30日(火)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。

2018年8月5日日曜日

山本雄基 アートを語る会

大黒屋での個展は今回で5回目、現在サロン展示中の山本雄基さんによるアートを語る会が行われました。プロジェクターで作品のイメージを見ながら制作について説明があり、独自の絵画論を熱く語っていただきました。


最初に、〇が特徴的な作品の制作過程について説明がありました。見える〇と見えない〇の層を積み重ねて構築される作品は「見えないけど感じる」ことを強く意識して制作されるそうです。見えるけど見えない、裏と表、明と暗、対立する要素をいかに「融和」させていくかが制作のポイントだといいます。シンプルな〇を使っていますがプロセスは奥深いなと感じました。


次に大黒屋という場を考えた今回の展示についてお話がありました。板室には自然の風景がパノラマのように広がっていて大黒屋は横の力が強い場所だそうで、過去3回の展示では横構図の作品をメインに展示していました。それに対して縦の力は人間が2本足で大地に立ったり塔やビルが建っているように人工的な要素を持っていて、今回はメインの作品を縦構図にしてどのように大黒屋の場と「融和」させていくか考えたそうです。


山本さんは現代美術作家として作品制作していることを強く自覚しているそうです。現代美術は一見するとどうやって見たらいいのか分からない要素を持っています。しかし、その「分からない」ことが「おもしろい」のだといいます。美術の歴史を勉強するうちに絵画特有のおもしろさを発見してその世界観に惹き付けられたそうで、絵画の表現手法の可能性を信じて今まで制作を続けてきたとお話しました。


実際の絵画制作をプロジェクターに映したイメージで実演しながら説明していただきました。絵の中で空間をコントロールしながら奥にあるものを手前に見せたり、見えている形と空間の矛盾を生み出す作品の仕組みの説明では、お客様から「おぉ~」と驚きの声も聞こえてきました。メインの作品についても説明があり、〇の配置で縦や横のラインが見えるように意識して制作されたそうです。



山本さんの作品は人工(=縦)と自然(=横)の存在を一つの画面に存在させ、人の目の錯覚を利用して矛盾が生じる画面構成になっています。しかし、絵を見ていると心が落ち着くような爽やかな気持ちになります。知性で捉えきれない矛盾ですが、感性によるバランス感覚では心地よさを生み出しています。これが山本さんのいう「融和」を目指した絵画の魅力ではないかと思いました。合理的な仕組みで成り立っている現代社会を感性の目で見つめてみたらどうだろうか、というメッセージを受け取ったようにも感じられたアートを語る会でした。



山本雄基さんの展示は8月30日(木)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。

2018年7月22日日曜日

瀬沼健太郎 アートを語る会

現在サロン展示中の瀬沼健太郎さんによるアートを語る会が行われました。プロジェクターでこれまでの作品と身の回りの風景を見ながらお話していただきました。


作品制作の信念として「切り取ってみる」ことを大事にしている瀬沼さん。「観察」と「技術」が重要だといいます。

「身体の動きの痕跡がガラスに残っていく」ことで造形される器。
「綺麗に動くと綺麗にできるんですよ。すぐに形ができるのではなく繰り返し繰り返し素材との折り合いをつけてなじむのを待つ感じ。ガラスがなるように、なるように。抑え込まないようにしています。醸すといいますか、種をまいてそうなるのを待つような。」



「作っている時、ガラスは1300℃の水飴状になっていて直接は触れません。重力や遠心力を駆使しながら形を作っていきます。」

「陶器は大地、竹籃は風だとするとガラスは花にとって『水』だと思います。花を生けることで自然の空気感、湿気のような瑞々しさを表現したいのかもしれません。」とガラスと花の関係についてお話をした後、実際に花を生けていただきました。


「器と花の調和を目指して生けます。器の口は波紋のイメージで、花を高く生けて軽くしたいですね。花は野にあるように。」


華道の流派について独自のお話もしていただきました。
「伝統的に学び伝えることも大事で、型を繰り返すことで見えてくるものもあると思います。しかし入口が形から入ることに僕は違和感を感じました。もったいないなと。身の回りの風景を自分で見て感じて生けることが大事だと思います。」


「作ることは確かめること」と語る瀬沼さん、最後に〇△□に言葉を入れて表現していただきました。
○わ △へん □ムロ
の中でへんムロで醸す】
「わ(環、和)」=自然界の循環や調和のこと。
「へん(欠片)」=自然から切り取った形、つまり花。
「ムロ(室)」=「ガラスの器」で醸す。

瀬沼健太郎さんの展示は7月30日(月)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。





2018年6月20日水曜日

磯飛節子 アートを語る会

現在サロン展示中の磯飛節子さんによるアートを語る会が行われました。スライドを使って制作方法やこれまでの作品など分かりやすくお話していただきました。


竹工芸を八木澤正さんの教室で学び始めた磯飛さん「最初は趣味で楽しく作っていました。」
初期の頃、先生の教えで茶や黄など自然色の作品が多数でしたが、徐々に鮮やかな赤を使うようになりました。竹の色彩は化学染料を使用しており、漆による仕上げが施されています。「年月が経つほどに上品な透け感が生まれていきます。」


「先人が考えた技術を残したい」という思いで『編み』の技法による重六目、『組み』の技法による千筋捻の作品を制作しているそうです。
「竹工芸は見て楽しむことを念頭に作っています。作品において全てオリジナルのものはなく、古いものから学んで新しいものを生み出しています。伝統とは変化していくもの、新しくしていくことだと思っています。」



「作りたいものを作る」をモットーにしている磯飛さんにとって、伝統工芸展に出品して評価されることは自分が気づかなかったことに気づく良い機会だといいます。
「用の美とは器の形を借りて表現するもの、用途に耐えられるもの。バランスやアール、細さなど細部にも竹の軽やかさを出すようにいつも心がけています。」


「今の仕事が好きです。好きなことを職業にして楽しく作ることが幸せ。自分のできる力で時間をかけたもの、細かい部分に気をつかったものをこれからも作っていきたいです。」と今後の抱負を話し、最後に○△□に言葉を入れて今の磯飛さんを表現していただきました。


△美 ○目 □技 
【自然や建築物、芸術作品など良いものを自分ので見て、竹工芸の術を磨きながら、しなやかでしい作品を制作していく。】



磯飛節子さんの展示は6月29日(金)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。



2018年5月20日日曜日

吉村昌也 アートを語る会


現在サロン展示中の吉村昌也さんによるアートを語る会が行われました。45年の作陶人生についてお話をしてくださいました。


吉村さんは大学を卒業して商社に就職、その後デザインを勉強。行きつけの現代陶芸店店主の知り合いが陶芸教室の先生をしていたことから趣味で陶芸を始めました。

陶芸を始めて4~5年でアマチュア大賞を受賞。アルバイトをしながら焼き物を作り続けるうちに陶芸で生計を立てたいと思うようになったそうです。


そして現在の笠間にある窯を構えました。笠間の土は鉄分が多く粉引との相性も良いそうです。「無心にろくろを回してとにかく作ることに一生懸命、夢中になってやりました。最初は日常使いの湯呑やご飯茶碗を作りました。」


いまや大英博物館にも展示されている吉村さんの作品。「もともと工芸全般が好きで良い物がどういうものか知っていました。だから目標を定めて作り続けることができました。」

粉引の器を長年使うと色が徐々に変わっていきます。この変化こそが粉引の魅力となり、器を面白くさせるとのこと。「80歳になってようやく価値ある物を作れるようになってきました。」

「ボディの黒い土と化粧の白い土の収縮率を一致させることが大事。一致していないと焼いた時にすぐ欠けるんです。」と粉引作り最大の難点を語る吉村さん。

「最近ようやくまとまった形でできるようになりました。土のこと、白い化粧のこと、焚きかたなどいろいろ分かってきました。これからまた制作に励んでいきたいです。」粉引を作り続けて45年、まだまだ道半ばというその姿勢からはとてつもないエネルギーを感じました。




吉村昌也さんの展示は5月30日(水)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。



2018年1月18日木曜日

佐藤順子 アートを語る会

現在サロン展示中の佐藤順子さんによるアートを語る会が行われました。
高校生のときから染織に興味を抱き、20代のときに旅先で出会った天然染料に感動したことが今の仕事に結びついています。
あかまんま、たんぽぽ、よもぎなど…優しい色にも関わらず力強さを感じたとのこと。


天然染料でウールを染める中で近年は色々な変化があったそうです。
まずは『染める』色ではなく『染まる』色。
以前は思い描いた色にこだわって染めていましたが、1つの染色に3日かかるという工程で原料となる植物の育つ場所、土壌、色素の量、煮出す水、薪で火を焚く火力等により色は変わってきます。
糸に宿った自然の色を大切に、デザインを考えていきます。


また、以前は1つの植物からできる色を単独で使い作品を作っていた佐藤さん。
今回の展示では2種類の色の糸を使ったものもあります。
より複雑な色味を楽しむことができ、そこには染めるだけではなく織ることで出来る新たな色との接し方が生まれました。


自由な染めの仕事に対して制約が多い機織り。
この正反対の作業が佐藤さんにとって良いバランスとなっています。


色を与えてくれる自然に対する感謝、糸と色との思いがけない出会いから、◯△□ を表現しました。

◯  畏敬
△  邂逅
□  色彩



佐藤順子さんの展示は1月30日(火)までです。
どうぞお運びくださいませ。

2017年10月20日金曜日

對木 裕里 アートを語る会

先日18日、現在サロンにて作品展を開催中の對木裕里さんによる「アートを語る会」が行われました。作品制作に対する考え、大黒屋の公募展受賞に関することや制作技法などについてなど詳しくお話しされました。


對木さんは作品のイメージやアイディアは普段仕事をしている東京で、満員電車に乗ったり、パソコン作業をしているときなど、雑踏の中で生活をしている時間によく浮かんでくるようで、大自然の中やリラックスしている状態だとあんまり浮かばないのだそうです。


今回の展示では石膏を使った作品がメインであり、その独特の造形性に対し多くの方が興味を持たれていると思います。對木さんは制作の際に手や頭を自由に動かし、粘土で形づくりをしていきます。スピードも大事な要素であまり作り込まないようにしているそうで、それが独特の造形を生み出している一因のようです。


トークの中で制作する上で大きな転換を与えてくれた、ジャガイモについてブロンズで作ったジャガイモを傍に置いて語ってくれました。ある日、ジャガイモを眺めながらジャガイモには上下左右がなく、置き方の決まりや「こうあるべき」というものがないことに気付かされたことが、自身の作品の在り方、置き方への考え方に影響を与えたと言い、それ以降「ジャガイモ」は對木さんの中である種のシンボル的な存在のようです。



最後に、制作する上で自身の3つの重要なキーワードを上げてくれました。
◯力 △感触 ❒土地



對木さんの展示は10月30日(月)までです。
ぜひお越しくださいませ。

2017年9月18日月曜日

小森邦衛 アートを語る会

 髹漆の人間国宝 小森邦衛さんによるアートを語る会が行われました。
 

 漆の歴史、採取方法、加飾や道具の話など「漆ってなに?」というところから、わかりやすく話してくださいました。


 こちらは蒔絵筆。テン、タヌキ、イタチなどの動物の毛を使っています。特に良いのはネズミの脇毛の筆。昔は琵琶湖でネズミを獲る人がいたのですが、現在はいなくなってしまい、入手困難でとても高価になってしまったといいます。


 今回の展示でも見られる網代の盆は、竹を薄く剥ぎ、編んだものに塗りを施す籃胎漆器です。竹の特徴として、木を素地とする木胎などに比べて時間が経っても痩せがなく、くるいが少ないといいます。竹は昔、定規に使われていたくらいですから、その安定性も頷けます。


 漆の仕事は基本的に分業であり、木地屋、塗師、沈金師、蒔絵師など、それぞれの工程ごと専門の職人がいます。
 しかし、小森さんは自分の展覧会で作品を発表するにあたり、誰かにお願いしてやるのではなく、自分で素地から手掛けようと思い立ちました。これが現在の制作の原点となっています。これこそ自分の作品と言えるものであり、初めて作品に「邦衛」というサインを入れても良いのではないかと感じたそうです。


 作家と職人の違いや、お弟子さんたちのことなど、漆工芸の世界を掘り下げた話もあり、会場にいらした皆さんも興味津々で聞いていました。


小森邦衛展は9月29日(金)までです。どうぞお運びくださいませ。