2021年3月26日金曜日

第211回 音を楽しむ会

 3月の音を楽しむ会は、テノール 上原正敏さんとピアノ 塚本敦子さんによる演奏会を行いました。今回は「温故知新」をテーマとして基本に立ち返り向き合った楽曲を披露していただきました。

ジョルダーニ作曲「愛しい人」、スカルラッティ作曲「菫(スミレ)」、ヘンデル作曲「オンバラマイフ(ラルゴ)」。明朗快活な歌とピアノのメロディーが会場に響きました。

美しい旋律の中に甘い苦しみと苦い喜びを表現したマルティーニ作曲「愛の喜び」、塚本さんのピアノソロでドビュッシー作曲「亜麻色の髪の乙女」を演奏していただきました、凛とした音が印象的でした。

ドゥランテ作曲「愛に満ちた処女よ」、グルック作曲「ああ私のやさしい熱情が」、ドゥランテ作曲「踊れ優しい娘よ」。リズミカルな調子で描かれる楽曲達は春風の温もりが感じられ心地よく耳に響きました。

アンコールでは「忘れな草」と「仰げば尊し(原曲はアメリカの歌)」を披露していただきました、胸に染み入るような言葉に感動しました。

上原さんと塚本さんによる演奏を十二分に堪能できた音を楽しむ会となりました。     ご来場いただいた皆様ありがとうございました。


2021年3月4日木曜日

2021年3月 杉田明彦展

  3月4日より大黒屋サロンにて、漆工 「杉田明彦 展」を開催しております。

石川県・金沢にて漆の器を中心に制作する漆工 杉田明彦さんは東京都出身、大学で文学部の哲学科に進みますが「手に職をつけたい」との思いから手打蕎麦店での修業後、2007年に輪島の塗師 赤木明登氏のもとで修行。6年間の修行の後2013年に独立しました。


杉田さんのうつわは、古い物がもつ質感、時間の佇まいから着想を得、自身の作品に反映させています。漆器は元来、お正月やハレの日などのお祝い事で使用されてきた為、『ハレの器、もてなしの器』としての役割を担ってきた感がありますが、杉田さんは日常で使用することをより想定して制作しています。マットな質感にすでに傷のような表情(古い土器のような)を持つ作品等にそれが見てとれます。また、作品を制作する上で現代の住居、生活の変化からも漆の受け入れ方も変わると言います。昔は現代のような電気、蛍光灯、LEDの明かりではなく、蝋燭の灯、自然光の微弱な明かりのなかでの生活が日常でした。その中で艶のある漆器が当時の生活のなかでは特別であり、マッチしていたのでしょう。しかし現代の電灯の明るさでは、その漆器は輝きすぎて浮いた存在に写ってしまうことや、テーブルと椅子の生活様式での目線の変化もあることなどから高台の高さ等にも工夫を凝らす制作を続けています。


漆の伝統を重んじながらも、現代の生活に違和感のなく使用できる漆器を考えて制作を続ける杉田さんの作品は、日本の和食料亭、またフランス料理の巨匠、アラン・デュカス氏のパリのレストラン等でも使用されています。和食でも洋食でも違和感なく、また普段使いから特別な日にもフラットに使えて、またそのまま飾っても楽しめる漆器だと思います。
本展ではお椀、飯椀、折敷、リム皿、盛り皿など和、洋どちらにも使える多様な器と、乾漆で作られた大型の器、そして漆の質感など、うつわでは表現できない平面、立体オブジェ作品など全300点以上展示いたします。この機会にぜひご高覧いただけたら幸いです。

会期:2021 年 3 月 4 日(木) - 3 月 29 日(月) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日 : 3 月 4,5 日
会期中の休館日 : 3月 16 - 18 日