2022年7月1日金曜日

2022年7月 磯谷博史展

  7月1日より大黒屋サロンにて、磯谷博史さんの個展「揺れる色彩 」を開催しております。


大黒屋で3度目の個展となる本展は、近年発表してきた作品群に新作を加えた全 21点で構成されます。磯谷は1978年東京都生まれ。東京藝術大学建築科を卒業後、同大学大学院先端芸術表現科及びロンドン大学ゴールドスミス校で美術を学びました。主に写真、彫刻、ドローイングによるインスタレーションの制作を通して、事物への認識を再考しています。



 展覧会の中心となる「着色された額」の写真シリーズは、2011年から継続的に発表されているものです。セピア調の写真は、「名前のない出来事」と作家が呼ぶ、日常に発見された様々 な景色や現象がモチーフとなっています。カラーで撮影された写真から色彩を減退し、同時に、かつて写真の中にあった特徴的な1色または2色が、フレームの一 部に着彩されています。色と形の情報を意図的に分けることで、フレームの色と、写真の中のモチーフはパズルのような関係 を結び、鑑賞者の想像力に復元という運動を促しています。作家は「写真は過去しか撮れないが、鑑賞者の頭の中で復元されることにより現在に置かれる。」と言います。「写真にフレー ムをとりつけるのではなく、フレーム という物質に写真を貼る。」とも話しており、「何が写っているか」だけでなく今ここにある「物質」として写真を捉えていることがわかります。

 再生フェルトの上に配置された近作の立体作品「活性」は、5000年前の土器の破片を泥に戻し、現在の粘土と混ぜ合わせ再焼成したものです。古代と現代を焼物を通し混ぜ合わせることによって、物が内包する時間と文脈を更新し、古代の再利用と再活性を促していると言えるでしょう。 


 近年、パリのポンピドゥ・センターやサンフランシスコ、MoMAでの展示及びコレクショなど、着実に評価を高めている作家の3度目の個展、ぜひご高覧いただけましたら幸いです。

会期 : 2022 年 7 月 1日 (金) - 7 月 30 日 (土) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日 : 7 月 1 , 2 , 26 日