2024年最後の音を楽しむ会はピアノ 阿部海太郎さん、ヴォーカル 武田カオリさんによる演奏会でした。
今回の演目...
〜BOTANY〜
Le jardin chez M. Elzéard Bouffier
Hiraku
オオバコ
スイフヨウ
ユキモチソウ
ホウライシダ
ナツツバキ
バイカオウレン
スエコザサ
Havanera de la montagne
〜HOUSE〜
Mirror
Boots
Blanket
Kaleidoscope
Vase
Globe
Amber
〜アンコール〜
Reflections in a palace lake
今回は阿部さんと武田さんが 10 年以上の歳月をかけて共作したアルバム「HOUSE」をメインに演奏して頂きました。HOUSEの12タイトルに綴られる形あるものと、お二人が紡ぐ形のない音楽が表現するのは、架空の女性の慎ましい生活の痕跡。大黒屋サロンで奏でられるお二人の音色は、どこか暖かく、包容力さえも感じ取ることができました。
HOUSEの前に「BOTANY」をテーマに10曲を演奏。連続テレビ小説「らんまん」の挿入曲にもなっている曲は、それぞれに植物に関する名前が付いており、高知県出身の植物学者である牧野富太郎の人生を表現しています。
「スエコザサ」はモデルになった牧野富太郎の妻である壽衛の名前が付けられた植物。冬に氷点下10度から20度になっても芽を残して生き残る力強さと、葉のしなやかさ、柔らかさ、美しさが壽衛の姿と重なる部分があると植物研究者はいいます。阿部さんの作曲した「スエコザサ」からも清淑で嫋やかな音色を堪能することができました。
これまでのピアノソロから一転、場を引き締めるかのような第一声で始まったアルバム「HOUSE」の演奏。
緊張感もありながら、耳や心に真っ直ぐ入ってくる武田さんの澄み切った歌声は会場にいる聴衆を一気に二人の世界観へと引き込みます。
「Amber」の直訳は琥珀となりますが、石言葉が幸運の象徴、優しさ、愛というお守りにもよく使われる石として知られております。阿部さん、武田さんが表現するAmberは子守唄のように、安らぎ、安心を与えてくれる一曲でした。
アンコールには「Reflections in a palace lake」を演奏。有名な曲なだけあって、曲に集中することができ、生音の奥行き、重さを体感することができました。
クラシカルでありながらじんわりと耳に馴染んでいき、心が温まる阿部さんのピアノの音色と、独特な雰囲気もありながら清澄さも感じられる武田さんの歌声に聞き入った音を楽しむ会となりました。
※今回、より音を楽しめる空間を作るために、音響設備の提供や本番中のオペレーションなど“Little Nap COFFEE ROASTERS”でバリスタも手掛けながら、DJとしても活躍されている濱田大介さんにもご協力頂きました。
次回の音を楽しむ会は2025年1月、三味線 佐藤通弘さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみに!
※2024年12月は休演です。