2016年6月27日月曜日

第159回 音を楽しむ会

 6月の音を楽しむ会は笛の福原寛さんでした。
筝の山勢麻衣子さん、奥山 益勢さんとご一緒です。


 今回は春夏秋冬、それぞれに季節の流れを感じさせる4曲の演奏です。

 春は朧月夜。春の夜に月がほのかに霞んでいる様子です。


 夏はほととぎす。船で隅田川をさかのぼり、ほととぎすの声を聞きに行く…たいへん風流な情景です。
こちらは笛、筝、三味線での演奏です。



 秋は明月。静けさの中に涼しい風が吹き抜け、満月の美しさが思い描かれます。



 冬は千鳥の曲。鳴く千鳥の寂しそうな声が聞こえてくるようです。


塩の山 差出の磯にすむ千鳥 君が美代をば 八千代とぞなく
淡路島 かよふ千鳥のなく声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守




 板室は梅雨の時期。ちょうど季節の変わり目です。日本古来の楽器による四季折々の移り変わりの表現は非常に美しいものでした。




次回の音を楽しむ会は7月26日(火)、ヴァイオリンの青木高志さんです。お楽しみに!

2016年6月20日月曜日

松岡信夫 アートを語る会

 現在サロンにて作品展示中の松岡信夫さんによるアートを語る会が行われました。

 もともと彫刻を学んでいた松岡さん。彫刻を志したものの、アートとは何だった
のだろうと疑問に思う出来事がありました。
 それ以来、生活を基準にものを考えるようになりました。アートは人間の生活を
豊かにするためにあるということです。




 松岡さんの作品は花器、照明、パーテーションなどさまざま。中には物干し竿、
トイレットペーパーの紙巻を作った経験もあります。
 豊かな生活を送ってもらうために、人間の底辺を支えるものにこそ力を入れて
制作しようとしました。




 今回の展示には ところどころに鉄で作った鳥がいます。
 具体的な用途が無いものですが、日常の生活に入ってくるようなものとして作
り続けてきました。作ることが難しいため、1年半前に制作をやめたのですが、
大黒屋での展示に向けてもう一度作ってくださいました。




 この展示では、お客様が心地よいと感じる空間になればと、どれも大黒屋に合う
作品で構成されています。
作品が主張するのではなく、花器であれば花を生けてこそ活きてくる空間づくりに
なっています。生活を支える背景になるものであり、一人立ちしてもおもしろい。
どちらも兼ね備えたものが生活になじむ作品になりえるのではないか、とおっしゃって
いました。

 


◯ 生の生活
△ 共同の物造
⬜︎ 生活の豊かさを求めて



松岡信夫さんの展示は6月29日までです。
ぜひお運びくださいませ。

2016年6月15日水曜日

青葉の野点 ーリンツ市のみなさまをお迎えしてー

先日、雨上がりの朝、青葉の中で野点が行われました。

那須塩原市と姉妹都市締結の調印式のためにお越しになった
リンツ市長をはじめ、リンツ市の皆様をお客様にお迎えしてのお茶会です。


ご到着の雨の夜から一夜明け。
雲の浮かぶ青空、川のせせらぎと青葉の香り。
鳥の鳴き声など自然に囲まれ、お客様もおくつろぎのご様子。


亭主は40年来茶道を嗜まれている那須塩原市役所の片桐様がつとめられました。
主客のリンツ市長クラウス・ルガー様に心を込めて歓迎のご挨拶ののち、
静けさの中で野点がはじまりました。


炉にかかった鉄瓶から湯を汲み、お茶を点てる。
淡々と続いていく1つ1つの所作をご覧になる
みなさまの真剣な目が印象的です。


報道陣の方も見守る中、おひとりおひとりがお茶を楽しまれました。


日本伝統のお抹茶は「おいしい」とのお言葉。
お抹茶特有の苦味も、紅茶やコーヒーで慣れているみなさまには
気にならないとのこと。炉の炭や澄んだ水だからこその爽やかな風味を
お楽しみいただけたようです。

那須塩原のおもてなしはお気に召されたでしょうか。
大黒屋スタッフも爽やかなお気持ちをいただいた1日でした。

2016年6月1日水曜日

6月 松岡信夫展

本日から大黒屋サロンにて「松岡信夫 鉄楽展」が始まりました。



2009年から7年ぶりとなる展示、今回は初夏の季節ということで
繊細な鉄の造形に小さな花入れをつけて楽しめる作品も多く展示しています。


作品を制作する空間―小さい規模であれば家、大きい規模であれば都市計画。
作品はそれらと常にともにあり、関連しない作品というのはつくることが
できないという松岡さん。普段は注文を受けての制作を中心に活動されています。
建築家やデザイン関係の方にも人気のある作家さんです。


今回のような展示では実験的な提案などをしてきたとのこと。
素材を選んで仕事を決めるのではなく、あくまで素材と空間から物を作る。
今回は鉄だけでなく木やガラスを組み合わせた作品も出品されています。


遺跡での仕事などをした経験から、振り返ることのできる歴史の厚みを
意識するようになり、縄文人の感覚を持つ作品を意識したこともあったという
作品には新しい鉄を打ち固めた作品だけでなく、古く錆の出た鉄を
使用したものもあります。


今回は庭の空間にも作品を配置。
他種多様な作品が大黒屋を彩るさまをぜひご覧くださいませ。

本日から5日と毎週土曜日は作家在廊日になっております。
18日は20時よりアーティストトークが行われる予定です。