2024年4月26日金曜日

第240回 音を楽しむ会

4月の音を楽しむ会はピアノ 橋本秀幸さん、ヴァイオリン Atowa Yuriさんによる演奏会でした。



今回の演目は...

 improvisation

 kagamino

 fractal

 yama

 koto

 maru         

 即興曲         など...



鳥のさえずりが静かに聞こえる会場。橋本さんのじんわり暖かいピアノの音色が会場を包みます。

会の後半にはAtowaさんとのデュオ演奏。お互いの演奏を見ながら、場の雰囲気を感じ、音を紡ぎます。

お二人の紡ぐ音には色や温度があり、その音色から過去の思い出や日々の喜び憂いといったものを感じることができます。

橋本さん、Atowaさんの温和で包容力のある音色に聞き入った音を楽しむ会となりました。




次回の音を楽しむ会は5月26日(日)、チェロ 黒川正三さんによる演奏会です。

どうぞお楽しみに!


2024年4月25日木曜日

2024年5月 八木夕菜展

板室温泉大黒屋では4月25日より大黒屋サロンにて八木夕菜展「Superposition」を開催しております。


八木さんはニューヨーク・パーソンズ美術大学建築学部卒業。カナダ、ニューヨーク、ベルリンを経て現在は京都を拠点に活動しています。建築事務所での勤務を経て、写真家として建築物を撮影することから「見る」という行為を捉え直し、物事の真理を追求し、視覚と現象を用いたインスタレーション、建築などで使われる素材などを用いた平面と立体の間を行き来する作品など、一貫して「見ることの本質」をテーマに時空の概念を重ねる作品を制作しています。アクリルブロックと写真を組み合わせ光の屈折によって見る角度が異なる景色を映し出す作品。写真にアルゴリズムを当てはめ平面の中で画像を歪ませる作品。写真を金属に印刷し折り曲げた作品など、写真の見せ方によって、視覚できるものの認識の仕方を意図的に意識させ、鑑賞者に多角的な視点を生み出しています。



以下、本展示に向けて作家によるステートメント


あれは夢だったのか、さだかではない。目覚ましが鳴り、時計を見ると9時。もうこんな時間だと慌てて支度を始める。すると、また同じ音の目覚まし時計が鳴り、もうひとりの自分が目を覚ました。時計を見ると針は7時を指していた。見間違えたわけではない。確かに最初に起きたのは9時だった。少し先の時間を生きている「私」と現在の「私」。現在とはいえ、今が既に過去にすら感じる不思議な体験。どちらも「リアル」な感覚があり、何人もの「自分」が多重の時間を過ごしているように感じられた。

近年、私が夢で体験した「時間」「存在」「空間」の多重性を紐解き、写真におけるSTILL LIFE(静止画)を探求している。今回はそれらのテーマに沿った2つの作品を新たに発表する。

ひとつは、それぞれの時間軸を持った花や石、乾燥した植物、種、鉱石、金属、ガラス、樹脂たちが同時に複数の時間軸で存在しているという事と夢の感覚を重ねる試み。ふたつ目は、AIによって生成された時間の概念と人間の感覚や経験に基づく時間の経過を可視化した二つの視点を合わせること。私にとってそれらは、我々が日常的に受け入れる「時間の流れ」とは異なる、時間の断片化と再構築がもたらす存在の複層性に自己を確認する行為なのかもしれない。

 

限りあるものが偏在する。

この世界は出来事の集まりなのである。



板室温泉大黒屋では、初めての個展となる「Superposition」。言葉をヒントに作品作りをするという八木さんは、カルロ・ロヴェッリの著書「時間は存在しない」を読んだ経験から時間の認識、幻想性について思慮し自身の表現を深化させています。本展ではこれまで実践してきた作品群と新作を組み合わせて約15点を展示いたします。この機会にぜひご高覧いただけたら幸いです。


会期 : 2024 年 4月 25 日 (金) - 5月 27 日 (月) 9:00 - 17:00

会期中の休館日:5月 14日,15日,16日

*展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。

*4月25日,5月17日のみ13時から開館


2024年4月1日月曜日

2024年4月 梶原靖元・山本亮平展

板室温泉大黒屋では3月29日より大黒屋サロンにて「梶原靖元・山本亮平 展」を開催しております。

梶原靖元さんは、長年、古唐津の復元に向け研究、実践を精力的にしながら、唐津焼きの起源ともいわれる飯洞甕窯跡の近くに当時の唐津の窯を参考に再現した窯を構え作陶しています。古唐津の原料は元来、粘土であるという通説に疑問を抱き、自らの窯跡、陶片などの調査研究を通し砂岩が本来の古唐津の原料であったという仮説を立て、自ら近辺の砂岩を採取し砕いて土をつくり制作を繰り返し実践し実証してきました。今では砂岩が唐津焼きの本来の原料であったことが多くの方に認識されています。古唐津を長年追い求めてきたなか、近年は赤絵や染付の作品作りや手捻りのうつわなど、新たな領域に向かって作陶を続けております。本展では、「李朝民画」「染付民画」「くらわんか」など絵付けのシリーズ、珠洲焼きの作品など唐津焼にとどまらない、様々な作品を展示いたします。



山本亮平さんは、初期伊万里を多く産した小物成窯跡(有田)近くにてご夫婦、平倉ゆきさんと作陶されています。お二人は古唐津時代から伊万里へ移行(白くてきれいな白磁は人気であったため唐津焼は衰退)する狭間にあたる初期万里と言われる(日本で最初の白磁)焼き物に魅了され制作をされています。絵付けは赤絵付工として鍋島焼の窯元に3年間在籍されていたゆきさんが描いています。4年前に完成した自身の土窯は400年以上前の陶工たちが使用していただろう窯を再現完成させ古典の風合いを自身の作品に反映させています。近年は自身も愛飲している中国茶で使用する茶器を多く手がけており、本展でも、茶壺、茶杯、聞香盃、茶海など出品、またお皿、鉢、花器、アルコールランプなど展示いたします。



400年以上前の陶工たちがどうやって作陶していたかを想像しながら、徹底的に、作陶の基本原理、窯作りから焼成方法、土、石、釉薬などの原料の選別を体現し制作を続けているお二人の展示。ぜひこの機会にご高覧いただけたら幸いです。

*梶原作品の、「李朝民画」「くらわんか」の絵付けは伊万里・有田伝統工芸士の村上三和子さんとのコラボレーションとなります。また「染付民画」は梶原さん自身で絵付けをされております。


会期 : 2024 年 3月 29 日 (金) - 4月 22 日 (月) 9:00 - 17:00

会期中の休館日:4月 9日,10日,11日

*展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。

*4月12日(金)のみ13時から開館