2016年11月27日日曜日

第164回 音を楽しむ会

 11月の音を楽しむ会はチェロの黒川正三さん、ピアノの黒川文子さんでした。お二人には7月の青木高志さんの音を楽しむ会にもご出演いただきました。
 

今回はヨーロッパをはじめとする様々な国の曲で構成されたプログラムでした。情熱的であったり、悲しみに打ちひしがれる曲であったり、貧しい人達の哀感や力強さ、ユダヤ人の厳しい宗教の世界など…それぞれの国の民族色や宗教色があらわれており、素晴らしい演奏でした。



 黒川さんのチェロとピアノは、曲の盛り上がる場面では息もぴったりに共鳴し、静かで切ない調子では優しく寄り添うような柔らかさがありました。











 

 次回の音を楽しむ会は12月26日(月)、中橋健太郎左衛門さん率いるオペラの演奏です。お楽しみに!

2016年11月19日土曜日

和のしつらい展 アートを語る会

 現在サロンで開催中の「和のしつらい展」から染色の久保紀波さん、日本刺繍の飯島桃子さんによるアートを語る会が行われました。


 もともと大学で染色を学んでいた久保さん。作家になろうとしていましたが、企画的なことをしたいと思い立ち、扇子を作る会社で働くようになります。染色を仕事にすることができて、自分の日本画の制作もできるということもあり、9年間扇子の企画をしていました。


 飯島さんは大学では油絵の学科の出身です。日本刺繍は絵にも通じるところがあり、手先が器用ということもあって、美大を卒業した後先生を探し、弟子入りすることで十数年学んできました。伝統工芸をやりたいというよりも、自分の作品を作りたいという思いがありました。
 

 こちらの日傘は 柄が長く、小ぶりで特徴的な形をしています。久保さん自身が麻素材の白い日傘が欲しいと思い探したときに、なかなか良いものが見つからなかったことから作ることになりました。
 手織麻に 柄は桜の木、軸は樫の木を使っており、良い素材にこだわるだけでなく、着物を着たときに姿がとても美しく見えるのも魅力です。


 自分たちの得意分野や、過去に勉強してきたことをどう仕事にするかは非常に難しい選択ですが、思い切って方向転換したことでこのように創り続ける道を拓いたのです。


 最後に制作する上で3つのキーワードとなる言葉をいただきました。

 飯島桃子   ◯ 生き生きと のびのびと

        △ リズムよく
        ◻ 色の組み合わせを楽しむ

 久保紀波   ◯ 欲する
        △ 作る
         ◻ 伝える



 和のしつらい展は11月29日(火)までです。ぜひお運びくださいませ。

2016年11月1日火曜日

11月 和のしつらい展

本日から大黒屋サロンにて「和のしつらい」展が始まりました。
本展は久保紀波さん(染色)、飯島桃子さん(日本刺繍)、峯史仁(組紐)、
石塚智之さん(絵)の4名の作家が出展しています。


現代の生活の中で少しずつ失われつつある、四季折々の暮らしに関わるしつらい。
大事にしたい文化の担い手である4名の作品が一堂に会しました。


展示は売店の中にも。今月は和の風情です。



染色の久保紀波さんは草木染めの絞りや型染めの帯、 小袋を出品。
草木独特のやわらかで味わい深い色味に、絵の石塚さんとの共同の作品もあります。
久保紀波さんはアトリエkinamiの主催でもあり、和装の際に立ち姿がすっきり美しく
見える日傘や扇子など、着物を着る生活の楽しみも提案してくださっています。


飯島桃子さんの刺繍は専用の道具とよりのかかっていない糸を用いる日本刺繍の
手法で、飯島さんの得意とする鳥や動物の文様が多く用いられた作品が出品されています。
ご自分で糸を染めることもあるとのことで、1針1針緻密に製作された作品は
近寄ってみることで独特のぼかしのような風合いも見えてきます。


組紐の峯さんの作品は全て作家自身が採取してきた野の草木によって染められたもの。
色とりどりの糸でできた紐は意外な植物で染められていることも。
「きのこブルー」とよばれる天然の染料には珍しい鮮やかなブルーはきのこによって
青く変色した朽木をに出してえられる色。組紐1本1本に長い時間と高い技術が
感じられます。



絵の石塚さんは墨絵を主に手がけ、様々なものに墨絵や彩色で絵を施した作品を
出品しています。桐箱に絵を施した作品は縁起物や昔話、墨絵の猫が描かれており
内側にも物語がつながっているものも。お正月の羽子板も色鮮やかに展示され、
早くも新年の気配を楽しめます。


18日には久保紀波さん、飯島桃子さんによるアーティストトークが
20:00〜開催されます。是非お運びくださいませ。


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