4月の音を楽しむ会はソプラノ 西田真以さん、ピアノ 吉本有佑さんによる演奏会を行いました。今回は自由で劇的な感情表現が特徴的であるバロック音楽を中心にプログラムを構成していただきました。
〜プログラム〜
すみれ Le violette (Aスカルラッティ作曲)
アマリッリ Amarilli ( G. カッチーニ作曲)
「マニフィカト」BWV243 より Quia respexit (J. S. バッハ)
「奥様になったら女中」より Stizzoso, mio stizzoso (G. B. ペルゴレージ作曲)
「グリゼルダ」RV718より Agitata da due venti (A.ヴィヴァルディ)
主よ、人の望みの喜びよ BWV174 (J. S. バッハ)
「セルセ」より Ombra mai fu(G. F. ヘンデル作曲)
「リナルド」より Lascia ch’io pianga(G. F. ヘンデル作曲)
「ジュリアス・シーザー」より Piangerò la sorte mia(G. F. ヘンデル作曲)
「メサイヤ」より Rejoice greatly(G. F. ヘンデル作曲)
さくら横丁 (中田喜直)
素敵な春に (小林秀雄)
開会の挨拶後、お二人で入場し、A.スカルラッティ作曲「すみれ Le violette」を演奏。すみれの花を恋人に見立てた可憐なアリアは、会場の雰囲気を一気に明るくさせます。
歌唱前に「人間の限界に挑む曲」と仰っていたA.ヴィヴァルディ作曲「“グリゼルダ”RV718より Agitata da due venti 」。高音で、曲調も早く、技巧的な音の連続は聞く人を魅了しました。
公演の中盤には、J. S. バッハ作曲「主よ、人の望みの喜びよ BWV174」を吉本さんのピアノソロで。美しい旋律と吉本さんの時折笑みを浮かべながらの人情味ある演奏は、心温まるものがありました。
会の後半は、オペラやオラトリオなど劇作品を中心に、多くの音楽を創作したことから「音楽の母」とも呼ばれているG. F. ヘンデルが作曲した4曲を演奏。運命の過酷さを表現したオペラ「“リナルド”より Lascia ch’io pianga」、キリストの生涯を描いたオラトリオ「“メサイヤ”より Rejoice greatly」など、登場人物の感情表現が豊かな曲目を西田さんの清潭な歌声で楽しむことができました。
アンコールの小林秀雄作曲「素敵な春に」は日本歌曲には珍しい、素直な愛を表現した曲。西田さんの歌声だけではなく、吉本さんのピアノの音色が、より曲の雰囲気を作り上げ、演奏後には大きな拍手が起こりました。
これまでは冬時期の「音を楽しむ会」という印象が強かった西田さん。新緑の美しい景色の中、西田さん、吉本さんの素敵な演奏を堪能できた音を楽しむ会となりました。
次回は5月26日(月)落語 三遊亭兼好さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみに!