2017年4月27日木曜日

第169回 音を楽しむ会

 4月の音を楽しむ会はテノール歌手の猪村浩之さん、ピアノの大坪由里さんでした。
お天気の心配もありましたが、サロンから見える桜は満開。桜を愛でながら聴くコンサートは格別でした。


 庭をバックに、ピアノソロから始まりました。小鳥が集まってくる可愛らしい様子、おしゃべり、ぱっと飛び立ち訪れる静寂…大黒屋の庭を思わせる曲です。


 春は出会いと別れの季節。オペラや映画の印象的な場面も思い起こされます。


 お客様と一緒に「春の小川」と「花」を歌いました。これらの日本の童謡、唱歌は最近では歌われる機会も減ってしまいましたが、春ならではの美しい風景を感じさせる素敵な歌です。


 最後は即興で明るいカンツォーネ・コレクションを歌っていただき、会場は大いに盛り上がりました。



次回の音を楽しむ会は5月26日(金)、ピアノの伊東晶子さんです。
お楽しみに!

2017年4月19日水曜日

松田百合子 アートを語る会

 現在サロンで作品展示中の松田百合子さんによるアートを語る会が行われました。
まずやきものの歴史になぞらえて「伝統と創造」「日常と非日常」について語ってくださいました。


 サロンには縄文土器を思わせる花器が並んでいます。やきものの発祥は、日常の生活の器からだと思われがちですが、もともと器として使われているものには木で作られたものが多かったようです。それに対して、日本においてやきものの原点と言われるのが縄文土器。これは生活のための器ではなく、神器、祭具として作られた非日常の器でした。
 この非日常こそが芸術の原点である、と松田さんは言います。


 大学生のとき、アメリカで自由な作風が進出する大きなムーヴメントがありました。発想の転換にたいへん驚き、影響を受けたといいます。日本では伝統があるばかりに新しいことはできず、枠の中でものづくりをすることしかできませんでした。


 現在の松田さんの作品の独創的な形、絵付には個性があふれていますが、九谷の伝統的な手法が用いられています。伝統と創造の両方を併せ持つ作品は松田さんの特徴であり、日常で使うものにもある種の非日常的な魅力を感じさせます。



 作陶するにあたり葛藤や迷いは尽きず、答えがないということを受け入れて制作していると話す松田さん。作り手が感動しないものは人の心を動かすことができません。受け手との響き合い、関係を大事に、これからも作り続けると意気込んでいらっしゃいました。


松田百合子  陶展は4月29日(土)までです。どうぞお運びくださいませ。

2017年4月5日水曜日

大黒屋の春の味覚 雪間草から蓬へ

日に日に日差しもあたたかくなり、梅が咲き。
板室でも目で、肌で、そして舌で春を感じられるようになってきました。

春の美味しいものを自然の中でいっぱい召し上がっていただく季節です。
今日は月に1度のもちつき、「雪間草」こと「ふきのとう」のお餅をつきました。


たくさんのふきのとうを湯がき、お餅に混ぜてつきあげたら少しだけ味付けを。


ほどよい塩味にふきのとうのほろ苦さと香りの広がる一品です。


晴天の中で食べるお餅は格別ですね。



4月から5月のはじめは春を感じる味覚をまだまだご用意しております。
みなさんおまちかねの桜の花が見ごろになるのは例年4月下旬ごろ。
満開の桜の下で春の色彩のちらし寿司…はいかがでしょう。


1日数量限定で、桜の咲く4月中旬ころから喫茶水琴亭にて提供する「花見ご飯」は
小森邦衛さんの大椀でご提供する贅沢なお花見メニュー。
菜の花も鮮やかに、日本の春を満喫できる昼ごはんです。


4月23日には板室の三大祈願祭のお焚き上げの餅つきがあります。
桜の下で召し上がっていただけます。

5月5日にはを混ぜた蓬餅をつきます。目にも鮮やかで香り高いお餅は年に1度だけ。
1年で様々なお餅をついています。こちらの記事もぜひご覧ください。



目で肌で舌で楽しい板室の春をぜひ体験してください。


2017年4月1日土曜日

4月松田百合子 陶展

本日から大黒屋サロンにて松田百合子展が始まりました。



松田百合子さんは山梨県忍野村に窯をかまえ、白磁に赤絵染付・金彩など色彩豊かな
絵付けの作品で世界的に人気のある女性陶芸家の1人です。


大黒屋では喫茶水琴亭の湯呑や抹茶茶碗、酒器などさまざまなところで松田さんの器を
使用しています。松田さんの独創的な形の器は「一度見たら忘れられない」と言われる
ことが多いそうです。みなさまもあの器では?と思い出されるのではないでしょうか。


学生の頃1ヶ月白磁の上絵付けを九谷で学び、伝統的な五彩を中心とした色彩を駆使して
「びっちり」描かれた絵。現代美術の先生からアドヴァイスしていただいたそうです。


今回の新作にはサザエの形から 想を得て形どった作品も。作っているうちにどこか
縄文土器ににていることから「縄文花器」などのタイトルがついていますが、築窯した
忍野村はネイティブジャパンとも言える仏教以前の習慣やお祭りが残っている土地、
その風土がどこか作品に現れたのかも、とのこと。



日本の美には引くことで研ぎ澄ましていく禅のような美と足していく華やかな美と
両者あり、松田さんは装飾過多な美をつくっていく仕事だと表現します。
作品には「たまたま使える」ものと「使いにくい」ものがあるそうですが、
少しでも何か面白いものがあるようにつくりあげているのが松田さんの作品。



展示は4月29日まで、18日(火)20:00からはアーティストトークがございます。
明るく楽しいお話が尽きない松田さん、ぜひお運びくださいませ。