2020年2月28日金曜日

第203回 音を楽しむ会

2月の音を楽しむ会はフルート森川道代さん、ピアノ安宅薫さん、チェロ増本麻理さんによる演奏会が行われました。


美しいメロディーと豊かな色彩が特徴的なゴーベール「ロマンティックな小品」は石畳の道を進むようにゆっくりとした歩調で奏でられました。


バッハ「フルートソナタ変ホ長調 BWV1031」の序盤は宮廷で軽やかなステップを踏むようにウキウキとした音色、中盤は一転して哀しげで冷たいガラスのように儚い旋律、そして終盤は赤と褐色の装飾的で華美な色吹雪が舞うように煌びやかな音が鳴り響き、舞踏会のようにドラマティックな音楽が印象的でした。


パラディス「シシリエンヌ」はチェロとピアノによる陽だまりのように暖かみのある楽曲、
フォーレ「シシリエンヌ」はフルートとピアノによる冷雨の中で佇むような哀愁感漂う楽曲、今回の演目で多く使用されているシチリアーノ(ゆるやかな8分の6拍子か8分の12拍子)が随所に表現されておりデュオによる静謐な音楽に癒されました。


優美な4楽章からなるドビュッシー「ピアノトリオNo.1 ト長調」は一日の思い出を振り返りながら家路につくように穏やかなハーモニーが流れ、アンコールはトリオによるフォーレ「シシリエンヌ」、板室の翡翠色の木々に降る雨雫の情景と郷愁の念が感じられた深いエレジーが鳴り響きました。


フルート、ピアノ、チェロの優雅な演奏を堪能できた音を楽しむ会となりました、ご来場いただいた皆様ありがとうございました!




次回の音を楽しむ会は3月26日(木)、鼓 藤舎呂英さんです。
どうぞお楽しみに!

2020年2月10日月曜日

2020年2月 村井正誠 版画展

2月7日より大黒屋サロンにて「村井正誠 版画展」が開催されております。


村井正誠(1905-1999)は、日本の抽象絵画のパイオニアの一人で、戦後はモダンアート協会の創立メンバーの中心的存在として活躍。「人」をテーマに絵画を制作してきた村井の作品は、鮮やかな色使いと大胆なフォルムの組み合わせが独特で観る人を惹きつけます。


1928年から1932年まで滞欧し、同時代の最先端の美術を吸収するほか、パリのアンデパンダン展にも出品しました。帰国後1939年からは世田谷区に自宅兼アトリエを構え晩年までこの地で精力的に制作を続けました。


大黒屋代表の室井が35年ほど前に現代アートに興味を持ち始めた頃、最初に購入したのが村井作品でした。それだけに深い思い入れのある作品群になります。今回、フレームを制作し直したことで新たな雰囲気をまとった作品となります。本展では、50年から80年代までの版画作品16点を展示いたします。令和の時代にみても全く色褪せない作品群です。
この機会にぜひご高覧ください。

会期:2020年2月7日(金)− 2月28日(金) 9:00 - 17:00   
会期中の休館日:2月18,19,20日 
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。