2020年1月27日月曜日

第202回 音を楽しむ会

1月の音を楽しむ会は三味線の佐藤通弘さんと佐藤通芳さん、箏の海寶幸子さんによる演奏会が行われました、今回で6回目のご出演です。


通弘さんと通芳さんの三味線の音色がバチバチとぶつかるように激しく響き合っていた
「津軽じょんから節即興掛け合い」、郷愁の念が呼び起こされるように心落ち着く通弘さんソロ「津軽三下がり」、お二人の三味線の豊かな表現力を存分に堪能することができました。


海寶さんソロの吉田検校作曲「千鳥の曲」では箏の繊細な高音で紡がれた華美な音色が会場を包み込んでいました。


再び通弘さんと通芳さんによる演奏では静寂な雰囲気を帯びた音色が印象的な「十三の砂山」、一転して弾ける音が耳に心地よい爽快な津軽甚句「ドダレバチ」を披露、音楽を聴いていて本当に気持ちよかったです。


轟くように力強い撥の音と疾走感ある流暢な旋律が渦巻いた通芳さんソロ「津軽じょんから節」、桜吹雪が色鮮やかに舞い散る情景を鮮烈に音楽で映し出した海寶さんソロ「さくら変奏曲」、臨場感あふれる音楽体験に感動しました。


最後は通弘さんと通芳さんによる「荷方節」、音色で対話する巧妙に噛み合った音楽は体を持って舞台で踊っているような迫力があり、最後はお客様と合わせた「日本一!」の掛け声と三本締めで締めくくり、アンコール「三味線ポルカ」では明るくユーモアのあるパートや超絶技巧の高速演奏が繰り広げられ、再びお客様から「日本一!」の掛け声と三本締めが起こり会場は大いに盛り上がりました。


三味線と箏の魅力を存分に堪能した素晴らしい音を楽しむ会でした、ご来場いただいた皆様ありがとうございました!



次回の音を楽しむ会は2月26日(水)、フルート 森川道代さんです。
今年も音を楽しむ会をどうぞよろしくお願いいたします!お楽しみに!

2020年1月22日水曜日

1月 山本雄基展

1月10日より大黒屋サロンにて「山本雄基展」が開催されております。


山本雄基さんは2010年第5回大黒屋現代アート公募展の大賞受賞をきっかけに、大黒屋で定期的に個展を開催、今回で6回目の個展となります。近年は、アジア、ヨーロッパでの個展やアートフェアでの出品により国内外で注目されている作家の一人です。
北海道帯広生まれで現在は札幌にて活動。2017年より札幌を活動拠点とする作家が中心となって運営しているスタジオ「なえぼのアートスタジオ」では運営メンバーの一人として活躍されています。


山本さんの絵画は10層程のアクリルメディウムの透明層の中で装飾的色彩の円形を画面に配置し、またそれらの存在を反転させるようにくり抜いた円形を重ね、複雑に交錯させ平面に奥行きや重なりを感じさせながらとらえどころのない曖昧さと、法則性を潜ませた絵画を制作しています。見える〇(不透明)と見えない〇(透明なヴォイド)が同時に存在する画面はお互いを対比させることで、どちらかに寄るのではなく間の領域に繊細でありたいという山本さんの思いが込められています。


「相反する事柄を抽象的な状況に置き換え、モノとして成り立たせること」に興味があると語る山本さんの絵画は時にポップで心地よい感覚を鑑賞者に与える反面、平面の層、奥行きの深さは絵画の歴史に対する時間を感じさせます。
作品の背景からは多分野の考え方を勉強している山本さんの思慮深さも感じられます、例えば数学の実数と虚数の関係のように無いモノを利用することで方程式を解くような表と裏の連動が起こり得ることを示唆するなど、最近では多元宇宙論(マルチバース)の考え方をアイディアのヒントに制作しているそうです。


1年半ぶりとなる本展では、大小さまざまな新作、15点を出品致します。メインの作品は新たに1つの〇に見える領域と見えない領域を同時に表現することに挑戦しており、2項対立ではなく様々な領域が必ず常に影響し続けている様子が描かれています。円キャンバスを用いた作品はスクエアのキャンバスに存在していた縦と横のアプローチを無くすことで新しいバリエーションとなっています。この機会にぜひご高覧ください。

会期:2020年1月10日(金)− 2月4日(火) 9:00 - 17:00   
会期中の休館日:1月21,22,23日 
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。

2019年12月29日日曜日

第201回 音を楽しむ会

12月の音を楽しむ会は生田流箏曲 日高さとみさんとヴァイオリン 菅野朝子さんによる演奏会が行われました。


お正月の曲として馴染み深い「春の海」を箏とヴァイオリンのデュオで演奏、幽玄な弦楽の世界が織り成され、「タイスの瞑想曲」では2つの音色が昇華されて安らかな音楽が響きました。


日高さんソロ演奏の「箏独奏の為のさくら」は静かな湖面へ桜の花びらがヒラヒラと舞うように華やかな音色が、菅野さんソロ無伴奏ヴァイオリン「ガヴォット」では温かい木漏れ日の陽光のような優しい音色が、会場に響きわたって美しい音楽風景を創り出していました。


お二人が創作編曲した「雪が降る」は映画フィルムを回し始めるようにヴァイオリンの音が雪降りの情景を映し出し、その景色の中で佇むように箏の音色が姿を現していく、音楽を聴いた瞬間にあっ雪が降っている、、と感じられる迫真の表現力に身体が震えるほどの感動を覚え、箏とヴァイオリンのドラマチックでクライマックスな掛け合いが展開され続けていくシーンは圧巻でした。


最後の「チャルダッシュ」は序盤の哀愁漂う雰囲気から一変して中盤からの陽気で活気溢れる音色を心地よく聴くことができ、アンコールのミュージカルキャッツより「メモリー」では明朗なメロディーが響いて演奏会のフィナーレを飾りました。
お二人の箏とヴァイオリンが織りなす音楽世界を堪能できた素晴らしい音を楽しむ会でした。



本年の音を楽しむ会にご参加いただいた皆様ありがとうございました!これからも皆様に様々な音を楽しんでいただけるよう場作りをしていきますのでどうぞよろしくお願いいたします!

次回の音を楽しむ会は年が明けて1月26日(日)、三味線の佐藤通弘さんです。
どうぞお楽しみに!そして良いお年を!

2019年12月4日水曜日

12月 酒器展

12月1日より大黒屋サロンにて酒器展が開催されております。


今回は17名の作家たちによるぐい呑、盃、そば猪口、麦酒杯、ロックグラス、片口、徳利などお酒を楽しむ器を300点以上展示しております。陶器、磁器、ガラス、多様な技法から生み出された器の豊かな表情をぜひ手に取ってご覧いただければ幸いです。
会期:12月1日(日)-1月6日(月) 展覧会はご宿泊以外の方もご覧頂けます。
会期中の休館日:12月10日(火)-12月19日(木)

展示作家
安齊賢太、梶原靖元、加藤委、川端健太郎、黒川大介、小山末廣、小山厚子、澤克典、杉田明彦、新里明士、西中千人、松田百合子、柳下季器、矢野直人、山口真人、山本亮平、渡辺愛子

2019年11月30日土曜日

第200回 音を楽しむ会

毎月26日開催している「音を楽しむ会」11月26日の今回で200回目となる記念の会は、音楽家の蓮沼執太さんによるサウンドパフォーマンス。大黒屋サロンで開催されている磯谷博史さんの個展「物音」とのコラボレーション企画を開催しました。

磯谷さんの作品1点1点について解釈を紐解いていくような形式で全26作品一つ一つに行為を重ねていくというパフォーマンス。

開演に先立って、まず磯谷さん(写真右)から「写真に隠された音を蓮沼さんに表現していただく機会が実現できて良かったです。音と音楽の間、ふとした物音が音楽に変わったり、音楽が物音に戻ったり、モノと楽器の間、モノが楽器になったり、また戻ったり、その変化の様子が楽しみです」とお話をいただきました。

蓮沼さん(写真左)はこれから行うパフォーマンスに対して「磯谷さんの作品に関連した行為を重ねたい、イメージやタイトルの言葉から音を抽出して、何か行為を起こせば音が生まれる、音楽という形式ではなく、行為だけで受け取ったとしてもそこには空間があるので必ず音はある、耳を傾けて見ていただきたい」とお話されました。


重なった木と葉と紙の上から水が滴った音、金物を硬いスティックで叩いたり、柔らかいモノで叩いて出た音、ビニールのパッキング容器に紅茶を淹れる音。かすかな物音が会場にひっそりと響きわたります。
事のもつれ
今回展示されている磯谷さんの作品「事のもつれ」シリーズは大黒屋という場との関係性を強く意識した作品で、蓮沼さんは(大黒屋サロンにずっと存在しているモノとして)ピアノを扱ったアプローチで「事のもつれ」を創作独奏で表現。


作品に内包された意味を音に変換して表現、内部奏法も織り交ぜながら、内部にモノを挟み込んだりして、美しい音が旋律に変わる様子なども窺えました。


ワイパーで窓を拭う音。弧を描くようにして床に足を滑らせる音。反射板に光をリフレクションさせて水の様子を映し出す行為。銅の器に紅葉を入れて棒を使って磨り潰す音。
白いタンバリンにテンションいっぱいに貝殻を押し付ける音。イメージのイメージという作品の解釈に対してはカセットテープでピアノの音を再生、タイトル「色の淹れ方」という作品については音を入れるということでレコードプレーヤーで音楽を再生。
蓮沼さんの行為から音が生まれ、そこから磯谷さんの作品が具象化されていくような独特な時間が紡がれていきます。

水に空気を入れて泡を出す音。蜂蜜の作品に対してシンセサイザーの変動した音。

2つのリンゴを手に持って比べてどちらが重いか測る行為、作品のテントウ虫にインスパイアされてドットという意味合いでベルを並べて鳴らす音。
パフォーマンスの後半になるしたがって、それまでの行為で残していたいくつかの音が重なりあっていき、独特の雰囲気となっていきました。
「物音」
最後にスピーカーに繋げたマイクを引き摺る行為と引き摺られた音。蓮沼さんの行為をみんなで追いかけながら音とイメージを再認識していき、最後は玄関からマイクの引きづり音に導かれ、音が重なり合っているサロン会場にゆっくり戻っていきます。


蓮沼さんが重ねた行為と音は、磯谷さんの作品全26点に対して解釈の補助となるようでありながらも、新たな知見をも示唆したもので、パフォーマンスをする意味、型ではなく、大黒屋という場にあてはめて表現された空間でとても貴重な一体感が共有できたと感じました。
まさに“音”を楽しむ会です。記念の200回目にふさわしい素敵な会となりました!ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
これからも様々な「音を楽しむ会」をどうぞよろしくお願いいたします。

※磯谷博史展「物音」についての詳細の展覧会ブログはこちらからぜひご覧ください。http://itamuro-daikokuya.blogspot.com/2019/11/11-hirofumi-isoya-with-hidden-noise.html

次回の「音を楽しむ会」は12月26日(木)、生田流箏曲 日高さとみ さんです。
どうぞお楽しみに!