2022年7月26日火曜日

第224回 音を楽しむ会

細井美裕

Nature Manque - なりそこないの自然(2022, 新作)

デバイス設計 / 実装:安藤充人 

音源収録地:板室温泉大黒屋

7月の音を楽しむ会はサウンドアーティスト 細井美裕さんによる特別編。いつもは公演形式で開催している音を楽しむ会ですが、今月は「サウンドインスタレーション」形式での開催でした。サロン内の壁や窓に様々な“装置”を設置しており、磯谷博史展とともに、細井美裕さんによる「音」のインスタレーションを楽しみました。

そもそも、サウンドインスタレーションとは時間よりも主に空間に規定される、音を使う芸術のことであり、室内や屋外に音響を設置することで、その空間や場所・環境を体験させる表現形態をとる作品を指します。

今回は大黒屋の自然などから音を採取し、特殊な装置で「音」を表現して頂きました。



「大黒屋周辺の川、虫、鳥、などの7種の音を窓に貼り付けた振動子
(貼り付けたもの自体をスピーカーにするもの)」


「水琴窟や川の低い音をイメージした音」

「蝉の鳴き声」

「川のサラサラした音」

「水のコロコロした音」

「鈴虫の鳴き声」



一つの空間で同じ音を聞きながらも、様々な思考をさせてくれる「音」。

一人で外を眺め想いに耽る人や、

二人で楽しく会話をしながら音を楽しむ人たちもいました。

普段から身近にある音なのにも関わらず、聞き方を変えるだけでも、感じ方が全然違うのだと、改めて気付かされた正に「音を楽しむ会」となりました。これを機に自然の中の音を聴く楽しみを味わってくださると嬉しいです。




次回の音を楽しむ会は8月26日、ピアノ 阿部海太郎さんによる演奏会です。

どうぞお楽しみに!




2022年7月1日金曜日

2022年7月 磯谷博史展

  7月1日より大黒屋サロンにて、磯谷博史さんの個展「揺れる色彩 」を開催しております。


大黒屋で3度目の個展となる本展は、近年発表してきた作品群に新作を加えた全 21点で構成されます。磯谷は1978年東京都生まれ。東京藝術大学建築科を卒業後、同大学大学院先端芸術表現科及びロンドン大学ゴールドスミス校で美術を学びました。主に写真、彫刻、ドローイングによるインスタレーションの制作を通して、事物への認識を再考しています。



 展覧会の中心となる「着色された額」の写真シリーズは、2011年から継続的に発表されているものです。セピア調の写真は、「名前のない出来事」と作家が呼ぶ、日常に発見された様々 な景色や現象がモチーフとなっています。カラーで撮影された写真から色彩を減退し、同時に、かつて写真の中にあった特徴的な1色または2色が、フレームの一 部に着彩されています。色と形の情報を意図的に分けることで、フレームの色と、写真の中のモチーフはパズルのような関係 を結び、鑑賞者の想像力に復元という運動を促しています。作家は「写真は過去しか撮れないが、鑑賞者の頭の中で復元されることにより現在に置かれる。」と言います。「写真にフレー ムをとりつけるのではなく、フレーム という物質に写真を貼る。」とも話しており、「何が写っているか」だけでなく今ここにある「物質」として写真を捉えていることがわかります。

 再生フェルトの上に配置された近作の立体作品「活性」は、5000年前の土器の破片を泥に戻し、現在の粘土と混ぜ合わせ再焼成したものです。古代と現代を焼物を通し混ぜ合わせることによって、物が内包する時間と文脈を更新し、古代の再利用と再活性を促していると言えるでしょう。 


 近年、パリのポンピドゥ・センターやサンフランシスコ、MoMAでの展示及びコレクショなど、着実に評価を高めている作家の3度目の個展、ぜひご高覧いただけましたら幸いです。

会期 : 2022 年 7 月 1日 (金) - 7 月 30 日 (土) 9:00 - 17:00
作家在廊予定日 : 7 月 1 , 2 , 26 日