2016年1月26日火曜日

第154回 音を楽しむ会

今回は漆原直美さんをはじめとするヴァイオリンとヴィオラの共演でした。


通常弦楽器だけの演奏はあまりないのですが、今回はちょっと珍しい組み合わせです。


弦楽器は人の声に近いと言われています。ヴァイオリンは女性の声のような音の高さ、ヴィオラはそれよりも低い音の楽器です。木のぬくもりが感じられ、心地よい音色が響きます。



3人は大学の同級生、先輩後輩の関係で 美しいハーモニーと、息もぴったりと合った演奏が印象的でした。




次回の音を楽しむ会は2月26日(金)ピアノの干野宜大さんです。
お楽しみに!

2016年1月22日金曜日

若杉集 アートを語る会

 1月18日若杉集さんによるアートを語る会が行われました。
 益子町で主に急須を作られている陶芸家です。
 大黒屋では、梅の館で急須を使わせていただいております。

 益子の土を長年使い続けてきた若杉さん。どんなことを語られるのでしょうか。



益子で急須をつくる

 今から40年前に職人になりたいと益子を訪れた若杉さん。最初に行ったところは粘土をつくっているところだったそうです。


 そこで粘土を精製している実際の現場や、職人の方から益子の現状を見聞きしている内に益子の土に強く惹かれたそうです。 
 当時の益子は大転換の時期にあり、自身のイメージとは違った益子がありました。粘土は、機械精製によって作られる粘土と、手漉し職人の方が手作業によって作られる粘土の2種類の製法がありました。経済バブルの影響下で大量生産大量消費の時代に、手間暇のかかる手作業の仕事よりも機械精製の量産性が優先され、次第に「土に関わる職人の方々が減りつつある」「益子の粘土が手に入らなくなる」といった益子の現状がありました。そのことを強く感じた先生は「益子の土を活かした丁寧な仕事をしたい」「益子の土で付加価値のあるものを作りたい」とそんな思いからつくり始めたのが焼き締めの急須だったそうです。
 急須をつくるには良質な粘土が必要で、きめ細かく、ろくろで薄くひくことのできる土でなければなりません。また素材の吟味、技術、道具、時間がかかり、多くをつくることができません。
 益子の土でいいものをつくるために、若杉さんは益子中を歩き自ら土を掘り、研究し、試行錯誤を続けた結果できたのが、現在もなお作り続けている焼締の急須なのです。


 今回のアートを語る会は、資料画像を見せていただきながらお話していただきました。益子の断層、土の断面、手漉し粘土職人など、若杉さんならではの視点から益子の風景が広がります。土の話をしている時はいつにも増して楽しそうにお話しておりました。


「益子の土でこういうことができる」

 益子というと「民藝の産地」「健やかな美」「浜田庄司」というイメージがあり、若杉さんの仕事からは、なかなか「益子焼き」というイメージが湧きにくいかもしれません。ただ、若杉さんの仕事は益子の土を100%つかったものです。益子の土では繊細な仕事はできないというイメージを払拭し、益子の新たな可能性を見出したのが若杉さんの仕事です。


「鋭さ」と「やわらかさ」

 ここ最近つくられているのは「真球」という作品。それまで日常生活で使うものを中心に作られてきましたが、今回の展示に出している「真球」は用途がありません。きっかけは、益子で行われた「土祭」という行事だったそうです。
 「益子の原土を使って新しいことをしよう」という若杉さんの提案から、益子に関わる様々な作家の方に益子の原土を渡し、新たな可能性を見出そうとしたイベントでした。そこで「手が切れるようなやわらかさ」をコンセプトにこの「真球」を作られたそうです。
 若杉さんといえば、繊細で洗練されたシャープな急須を作る作家というイメージですが、そのイメージを一転するような「真球」という作品。
 そこには、若杉さんの深い考えがありました。「自分の思いを果たそうと思った時には自身の背中を見たほうがいい」という考えから生まれたものだそうです。「鋭さ」の対義に「やわらかさ」がある、その「やわらかさ」を極限にまで突き詰めていくと鋭いものになるという、逆説的に自身の作品を見つめ直した作品です。
 「真球」は、まだ研究段階で非売のものですが、是非大黒屋にお出かけください。


若杉集さんの個展は1月30日までです。

2016年1月9日土曜日

1月 若杉集展

先日より陶芸家若杉集さんの個展が始まりました。


グループ展を合わせると大黒屋での展示は3回目となります。
大黒屋の梅の館で使われているおなじみの急須以外にも茶器・茶道具や酒器など
多彩な作品を出品していただいています。


また、今回の展示では2015年9月13日〜28日に行われた「土祭」に出品された
「真球」を同時に展示していただいています。
25名の、陶芸家を含む作家たちによる「益子の原土を継ぐ」という
インスタレーションの中で展示されました。

土祭HPリンク:「益子の原土を継ぐ」陶芸家若杉集さん
http://hijisai.jp/blog/tsugu/4945/


若杉さんは益子の原土にこだわり、自らの足で原土を探し、土作りの職人さんから
学んで制作を続けてきました。


若杉さんの代表的な作品である急須も、様々な原土で制作されています。
原土の違いだけでなく、原土からの土作りの違いでも肌あいが異なります。
急須1つ1つに違う創意と工夫が込められています。



ぜひ、作品の1つ1つだけでなく、若杉さんの土への取り組みにも
触れていただければ幸いです。

作家在廊日は 17日〜19日、23日〜24日を予定しております。




2016年1月4日月曜日

新春 早咲きの梅


東より 春は来ると 植ゑし梅
高浜虚子

新春明けましておめでとうございますとは申しますが、
暖かい冬に誘われたか、大黒屋の庭の白梅の花が咲きました。


70年板室を見てきた大黒屋の代表も、こんなに早く梅を見たのは初めてとのこと。



今週から寒くなるとのこと…また蕾も硬くなるかもしれません。
少し早い季節を楽しみつつ、本当に春が来るのを待っていただきましょう。

2016年1月3日日曜日

第11回大黒屋現代アート公募展 第1次選考通過者発表


第11回大黒屋現代アート公募展第1次選考通過者40名が決定しましたので発表します。
(※1次選考通過者につきましては、個人情報保護のため受付番号のみの発表とさせて
頂きます)

  3番   9番  13番  35番
 40番  49番  58番  70番
 88番  91番  92番  93番
100番 123番 127番 132番
148番 156番 159番 161番
174番 176番 181番 182番
187番 202番 222番 229番
231番 244番 247番 255番
264番 269番 295番 310番
314番 321番 341番 378番


(ご応募頂きました皆様へ)

この度は大黒屋現代アート公募展へご応募頂き
誠に有り難うございます。
今回も応募総数380点とたくさんのご応募を頂きました。
第2次選考は 大黒屋において2月初旬に行います。
(第1次選考通過者には郵送にて第2次選考概要を送付しています)
入選作品につきましては3月1日〜30日の間、
大黒屋サロンにて展示致しますので、ご高覧頂ければ幸いです。

2016年1月1日金曜日

菅木志雄さん 第57回毎日芸術賞受賞

1991年の「天の点景」から25年、大黒屋の場つくりの
中心となってきた菅木志雄さんが、第57回毎日芸術賞「美術Ⅰ」部門を
受賞されました。

「天の点景」製作当時の菅さん(1991年)

2015年1月から東京都現代美術館で行われた「菅木志雄 置かれた潜在性」が
60年代からの活動を大きく取り上げ、その評価による受賞ということです。

記事関連リンク (時事通信/ヤフーニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160101-00000022-jij-soci
(展覧会サイト:http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/kishiosuga.html

「風の耕路」を製作中の菅さん(2009年)

受賞、おめでとうございます!菅さんの作品をご覧になりたい方は、朝10時からの倉庫美術館ご見学もおすすめいたします。





大黒屋のお正月

新年あけましておめでとうございます。
皆様のお力添えで新しい年を無事に迎えることができました。
感謝申し上げますと共に、本年の皆様のご多幸をお祈りいたします。




今年も元旦のご朝食にはおせちをご用意いたしました。

厨房は早朝から大忙しです。

 みなさまに幸福がありますよう、縁起物がたくさん詰まっています

 玄関もお正月のしつらえに。

フロント、ショップのスタッフは和装でお出迎えいたしました


今年の干支は申(さる)。大黒屋にはこんな猿もやってきます。

  本年も、どうぞよろしくお願い致します。