2016年4月26日火曜日

第157回 音を楽しむ会

今月の音を楽しむ会はフルートの森川道代(もりかわみちよ)さんとピアノの安宅薫(やすみかおる)さんでした。
近代フランスを舞台に活躍した音楽家の曲をメインに演奏されました。


のびやかなフルートの音色の美しさ、ステップを踏みたくなるような明るい曲で楽しませてくれました。


大黒屋の庭にはたくさんの鳥がやってきます。季節ごとに違う鳥がのびのびと飛び交います。そんな大黒屋の鳥にちなんで、「黒つぐみ」という現代音楽の演奏がありました。
この曲を作ったオリヴィエ・メシアンは鳥に非常に詳しく、作曲家でありながら鳥類学者でもあったそうです。鳥の声を楽譜に起こすという斬新な取り組みをした方です。
野生の鳥の生命感、緊張感が伝わってきました。




アンコールは中盤で演奏した「黒つぐみ」に対して「白つぐみ」という曲です。
まさに朝の小鳥のおしゃべりのような明るいメロディで、たくさんの鳥が集まってきそうでした。


今日はぽかぽかと暖かい陽気で、山の新緑が鮮やかに輝いていました。フルートの優しい音色が 木や鳥や花の彩りに寄り添うように聞こえてきました。



次回の音を楽しむ会は5月26日(木)、ボタンアコーディオンの伊藤浩子さんです。
お楽しみに!

2016年4月20日水曜日

「桜を愛でながらお餅を食べる会」のお知らせ

待望の枝垂桜も満開となり、「萌え出づる春」という言葉が
ふさわしい頃となりました。

来る4月24日(日)、今年1月1日から行われていた板室温泉三大祈願祭の
締めくくりとして祈願されたお札のお炊き上げと奉納のお餅つきが行われます。



「桜を愛でながらお餅を食べる会」
2016年4月24日(日)11:00~大黒屋前の河川敷にてお餅を振舞います。

三大祈願祭とは板室温泉周辺の古くから信仰されている神社で
祈願したお札を各旅館でお祭りし、病気平癒の祈願をするものです。

大黒屋から徒歩でお参りのできる神社は「板室温泉神社」と「篭岩神社」

板室温泉神社は「杖いらずの湯」といわれ神経痛や関節炎によく効く
板室のお湯の神様です。治った方々の杖が御礼のため奉納されています。
篭岩神社は古くから乳がんにご利益があると信仰のある神社です。



鯉のぼりも舞う豪華なお餅つきになると思います、ぜひご参加、ご祈願くださいませ。
ご参加の際は23日(土)もしくは24日(日)のお泊りがおすすめです。

西中千人 アートを語る会

西中千人 アートを語る会

 4月18日西中千人さんによるアートを語る会が行われました。
 大黒屋では、今回が初めての個展です。


西中さんの生い立ち

 生まれは和歌山県和歌山市。自然豊かな街で生まれ育ち、海までは、なんと約35秒。
 のんびりとした風土で18年間過ごしたのち、父の役に立てればと医学の道へ進むため、東京への生活に憧れもあり高校卒業後上京しました。ただ、注射が嫌いな西中さんは、医学部ではなく薬学部に入学。薬剤師免許取得し無事卒業。
 医学の道からなぜガラスに興味をもったのか?
 大学卒業間際、吹きガラス工房の見学がその後の転機となったそうです。
 それまで、ガラスのイメージは、車やビルなどに使われるような工業製品であり、冷たく画一的で硬いものであると思っていたのが、吹きガラス工房の見学を機にそのイメージが一変しました。熱せられたガラスが吹くことによって膨らみ既存のイメージとは全く違う姿を見た時「自分もやってみたい!」と、その不思議なガラスの魅力に魅せられた西中さんは、ガラスへの道を決心。その後、 ガラスの扱いに経験がないものの力仕事には自信のあった西中さんは、カガミクリスタルに直談判し入社、ガラスに関わる人生がはじまりました。


呼継(よびつぎ)

 今回の個展では作品「呼継」を中心に展示していただいており、そのことについてお話ししていただきました。
 呼継とは?
 呼継とは、割れてしまった器を漆、金などを使い修繕する技法で、主に陶器の茶碗などに用いられます。また金継とは違い一つの器の破片を組み合わせるのではなく、全く別の器の破片を持ち寄り、継ぐという日本には古くからある技法です。
 なぜ呼び継なのか?
 美術に興味をもった先生は「美」を勉強するため渡米、海外での経験から日本の文化、日本人の美意識を模索するようになります。その答えを見つけるために日本の文化、歴史を改めて勉強し直し、茶人の千利休、古田織部、侍にたどりつきます。茶の湯の先達が愛でた器に「呼継」がありました。
 「いま生きているという瞬間が強くもまた儚く美しい」それをヒビを通して表現しているのでは?と思い、西中さんは、呼継の茶碗に感銘を受けガラスの器に取り入れたそうです。
『自分なりの技術で自分なりの感覚でその「魂(日本人の美意識)」を「形の下にあるもの」を、表現しようとした』


水琴窟のガラスの庭の話
 
 「派手なことをせず、自己主張せず、場を見せる作品にしたかった」と今回の水琴窟の庭についてお話ししていただきました。
 それは、水琴窟のある「場」がそうさせ、渋さ、作為のなさ、主役じゃない作品の見せ方を心がけたそうです。



色の話

 様々な金属酸化物を使い、ガラスに色を与え、巧みに組み合わせている西中さんの作品。色によって扱いが違い、それを一つの作品にまとめるのはとても難しいとのこと。
 自身のペースではなく、素材のペースにあわせ、ガラスに無理のないよう、ガラスの気持ちになってものを作ることを意識し、コンピューターを駆使しコンマ1度まで温度管理に注意を払うそうです。
 ただ、様々な色を使えばいいというわけではなく、歌舞伎で見た着物の美しさなど感性で感じとったことを表現したいとお話ししていただきました。



 最後に◯△□に西中さんなりの言葉を当てはめていただきました。
 ◯△□は全宇宙を表していることと捉え、それぞれに「生」「気」「死」と書かれていました。「気というのは、東洋医学でいうとエネルギーの流れ、生命の流れを表している」「大概のことは気合いで乗り切ってきた」「生きることと滅びることを継なぐ気を重要なものとして捉えている」とお話しされ、その「気」は作品からも西中さんご本人からも伝わってくるアートを語る会でした。

西中千人さんの個展は4月29日までです。

2016年4月14日木曜日

夜桜の会 桜を愛でる季節です

本日、今年初の夜桜の会が催されました。
桜は7分〜5分咲き、今週の末から来週までが見頃というところでしょうか。

16日(土)も天候が良ければ夜桜の会を開催いたします。
残室のこりわずかですので、どうぞご予約はお早めに・・・






篝火に照らされて「幽玄」の趣の桜
目を凝らして見る桜は詩情もありますね。

昼はこんな景色です。


川原は五分咲き、これからです。


松の館前の桜は7分咲でしょうか。
毎日新しい花がどんどん咲いています。


板室の遅めの春をどうぞご堪能ください…

2016年4月5日火曜日

篝火で夜桜を

桜の蕾が膨らみ、華やかな季節に期待が高まる今日この頃。
本年度も夜桜鑑賞会を開催予定です。



大黒屋の夜桜鑑賞会は幽玄な篝火の元でご覧いただきますため、
桜が満開の頃、風が静かで晴れた夜のみ開催いたします。

 昨年度の夜桜鑑賞会の模様。河岸の篝火のもとで。

 木庭ではろうそくの光が道しるべとなりました。


今年は個展を開催中の西中千人さんのガラスの庭も美しい光を放ちます。
華やかな夜になりそうです。

桜の見頃は4月中旬の予想です。若干ではございますがお部屋もまだございますので、
ご予約はどうぞお早めに。
素敵な夜に巡り会えますように。

2016年4月1日金曜日

4月 西中千人展

本日より、大黒屋サロンにて 西中千人展「呼継と光」展が始まりました。



西中さんは鮮やかで斬新な造形の中にある、日本人独特の美意識や感性に
よる作品を制作し、国内外から注目を集める作家です。


西中さんの作品を代表し、本展の副題ともなっている呼継。ひびや欠けたものの中に
「美」を見出す日本人の特殊さは、海外での滞在中に日本の文化を教えて欲しいと
頼まれたことから着眼するようになったそう。


茶器や、自然の中から造形のインスピレーションを得た食器なども展示されています。
西中さんはガラスという素材を通し、あくまで精神や光など目に見えないものを
生み出す仕事をしているという西中さん。

そして今回は庭師の木村博明さんとのコラボレーションによる
屋内に庭をつくり上げた作品、大黒屋玄関前の水琴窟の前に作られたガラスの庭が
見所になっています。


「時刻の扉」の周囲には大黒屋前の川石と苔の庭。大自然に囲まれた大黒屋には、
人工的な庭ではなくその自然や森を中に引き入れる庭がふさわしいとお話ししたそう。


大黒屋Facebookにて、庭を製作中の西中さん、木村さんの写真を
アップしております。ぜひご覧くださいませ。


玄関前には咲き始めたカタクリと西中さんの庭。
春の光と風と水と、西中さんのガラスがお待ちしております。

アーティストトークは18日20:00〜を予定しております。
ぜひお運び下さいませ。