2016年8月27日土曜日

第161回 音を楽しむ会

 今月の音を楽しむ会は鼓の藤舎呂英さんでした。昨年に引き続き、筝の吉澤延隆さん、舞踊の花柳美輝風さんとの共演です。


 筝の独奏「線香花火」。パチパチと花火がはじけるような表現もあり、夏の終わりを感じさせられました。


鼓の独奏「一心」。字のごとく、思いが打ち込まれている様子が伝わってきました。


  お客様の質問に答えながらの楽器の説明は、とても和やかな雰囲気でした。


 最後は花柳美輝風さんの踊りが加わりました。鳥のような優雅な舞いと、美しい音色。まさに見て、聞いて楽しめる会でした。





次回の音を楽しむ会は9月26日(月)、ソプラノの森田克子さんです。
お楽しみに!

2016年8月20日土曜日

磯谷博史 アートを語る会

8月18日、サロンにて磯谷博史さんによる「アートを語る会」が行われました。
様々な角度で作品を作る磯谷さんですが、初めての大黒屋での個展では新作4点を含む全16点の写真作品によって構成されています。

建築を学んでいたことや、ご自身の制作と建築的考え方のつながり。制作の技法などについて、また大学でのことや、ロンドンで学んだことなどについて等たくさん語ってくださいました。



磯谷さんの作品は、ものとものとが作用していたり、力学的な関係でできた事柄の発見であったり、作者自らの実験的な行為が含まれています。


これらの作品は、まず撮影したカラー写真をコンピュータの操作で色をなくし、セピア調の写真にします。そして、カラー写真のときに元々あった特徴的な色をフレームの一辺に置くことによって、この写真と額の関係を使って思考のパズルのような作品ができていきます。


作品をじっくり見ていると、なぞなぞのように一体これは何なのかと考えさせられます。写真の中の形を残し、色をなくすことで作品にすきまが作られています。


写真とは現在を撮ることはできず、過去のものであるという性質があります。そこに彫刻的な物質としてフレームを一体化させることにより、オブジェクトとして現在にある存在となります。






磯谷博史さんの展示「すきまを育てる」は8月30日までです。
す・き・ま だらけのパズルのおもしろさを、是非ご覧ください。




2016年8月10日水曜日

大黒屋支援ギャラリー

大黒屋北の館に今春からオープンした「支援ギャラリー」をご存知ですか?

大黒屋は「保養とアートの宿」としてアーティストと共に場つくりをしています。こちらの支援ギャラリーは共に場つくりを試行していく若手アーティストのための常設のギャラリーですが、作家の活躍と共に作品が入れ替わっていくことも特徴です。


現在の展示作家は大黒屋現代アート公募展第5回大賞受賞者である山本雄基さん、大黒屋で勤務したのちアーティストとして研鑽を積む木城圭美さん、今井貴広さんの3名です。


4月には昨年の大黒屋個展後に加筆を加えたという木城圭美さんの「融合」が展示され、7月半ばには今井貴広さんの新作4点が新たに展示されました。


山本雄基さんの作品「ふかしのすきま(invisible dance)」2011(左)153の円、11の正方形、6つの色層」2015(右)
山本さんはドイツでの個展、アートフェアへの出品など精力的に活動されています。



木城圭美さんの作品「めざめのもり」2015、「つばさ」2015、融合」2015/2016、「体内宇宙」2015(左から) 
Facebookでもお知らせしましたが、木城さんは現在ネパールにてネパールの作家とのグループ展に参加中です。


今井貴広さんの作品「view from the outside」「rough/fixed」「calm」
a form (vertical)」(左から、すべて2016)
今年2月の大黒屋での個展開催後、家業の農業に従事しながら新作を製作中です。

       

作家と共にギャラリーも成長していきます。知らない間に変化しているかもしれません。
大黒屋にお越しいただいた折はぜひ北の館まで足を伸ばしてご覧くださいませ。
開廊時間は9:00〜17:00です。

2016年8月1日月曜日

8月 磯谷博史「すきまを育てる」展

本日より大黒屋サロンにて磯谷博史個展「すきまを育てる」が始まりました。
大黒屋では初の個展です。


磯谷博史さんは東京藝術大学で建築と美術、またイギリスの大学で美術を学び、現在は日本だけでなくアメリカ、シンガポール、スイスやイタリアなど国際的に個展やグループ展を行っています。


磯谷さんは写真、彫刻、ドローイングやそれらを複合したインスタレーションを制作していますが、今回は2004年から構想されてきた写真作品を一堂に会し展示しています。

 「ブランク・ブック」タイプCプリント、着色されたフレーム(2016)

磯谷さんの写真作品はプリントした写真の色彩を意図的に減退させ、フレームに退色する以前の被写体の色を着色することによって成立しています。

 「すきまを育てる」タイプCプリント、着色されたフレーム(2005-2012)

今回の表題でもある「すきまを育てる」はいちごにカプセルをかぶせ、カプセルといちごのすきまが消滅したあと、またしぼんでいく過程ですきまが育っていく様を撮影した写真がもとになっています。
写真にうつっているものには過去が存在しますがそこに存在する時間と現在の時間の「すきま」、また着色された色彩と今は存在しない色彩の間の「すきま」物体にはたらく力学
日常の中にふと現れるあやういバランスや因果関係を感じることもできます。


館内の各所で作品と出会う大黒屋において、磯谷さんの作品もまた、ふと出会うことによりこれまで認識していた日常から少し異なる「すきま」を発見するきっかけになることでしょう。





磯谷博史さんのアーティストトークは8月18日(木)20:00〜行われます。
ご宿泊でなくともトークは聞くことができます。
どうぞお問い合わせください。お越しをお待ちしております。