10月18日 タナカ ヤスオさんによるアートを語る会が行われました。
タナカヤスオさんは第9回の大黒屋公募展の大賞者です。
3回にわたっての『タナカ ヤスオ インタビュー』もブログにあげておりますので、そちらも合わせてみていただければと思います。
タナカヤスオインタビュー 第1回 「描く行為」と「身体」について
http://itamuro-daikokuya.blogspot.jp/2015/10/blog-post_15.html
タナカヤスオインタビュー 第2回 ファインアートの作家になるまで
http://itamuro-daikokuya.blogspot.jp/2015/10/blog-post_16.html
タナカヤスオインタビュー第3回「制作にかかわる感覚について」
http://itamuro-daikokuya.blogspot.jp/2015/10/blog-post_17.html
もともとはファッションデザインを勉強されていたタナカさん。現代美術の作家として活動するようになった経緯、また描いているもの、描くことについて語っていただきました。
何を描いているのか?
何かを描くというと、具体的なものを観てそれを平面に写し取る。あとは抽象画のような感情や心の動きのイメージを描くというのが一般的に絵を描くというイメージですが、タナカさんの場合「何かを描く」のではなく、絵の具を物質的なものと捉え、その「物質性」を重要視して作品制作されているそうです。
『絵の具(物質性)をつかって絵画をつくる』
何かを描くために絵の具を使うのではなく、絵の具そのものの物質性を表現手段に取り入れている。絵の具の「触感」がタナカさんにとってリアルなものとお話ししていただきました。
「感触」を確認しながら、反応しながら画面を構成する。
不必要なものを塗りつぶし消しながら、痕跡を残して行く。
自身の作品と一定の「距離」を保ちながら。
そういった、「距離感」「物質性」という言葉が出てくるのは、「独自性」「オリジナリティー」とういものに対して疑問を抱いていたからとおっしゃっておりました。
タナカさんはファッションデザインと自分との関係の中で納得できる独自性を自分の中に見つけることができなかった話しています。「自分に独自性がない」「より客観的にものを見つめる」「自分と作品の間に距離を置く」「絵の具はただの物質である」「ドライな感覚」「自分を出さないように消す」「その行為の連続から滲み出てくるものこそ純度が高い」など、当館代表の室井俊二との対談からでてきた断片的な言葉からタナカさんが表現しようとしているものが見えてきたように思います。
最後に、自身の作品について一言で表すと
「触」
タナカヤスオさんの展覧会は10月30日までです。
ぜひ会場に来て、ブログ内で伝えきれなかった「距離感」「物質性」「リアル」をタナカ ヤスオさんの作品に触れ感じ取っていただければと思います。