~出演者~
アイーダ:イ・スンジェさん(ソプラノ)
ラダメス:城宏憲さん(テノール)
アモナズロ:青山貴(バリトン)
アムネリス:丸尾有香(メッゾ・ソプラノ)
ピアノ:中橋健太郎左衛門さん
〜第1幕、第2幕のあらすじ〜
エチオピア王女アイーダは、エジプトの捕虜となっていたが、身分を偽ってエジプトの王女アムネリスの奴隷として身の回りの世話をしている。敵国エジプトの若き衛兵隊長ラダメスとアイーダは密かに想いを寄せ合っているが、ラダメスはアイーダがエチオピアの王女であることを知らない。エジプト王女アムネリスもまたラダメスを愛しており、二人の王女は対立する運命となる。
そして、ラダメスはエチオピア討伐の任務を果たし、エジプトに帰国する。その凱旋の場で、アイーダとエジプト王アモナズロが親子であること知る。自分の立場と愛に思い悩むアイーダとラダメス。二人の関係を利用し捲土重来を期すアモナズロ。それぞれの想いが交錯する。
〜第3幕、第4幕〜
夜のナイル川のほとりで一人、愛と祖国を失ったと沈痛な面持ちで想い馳せるアイーダ。
💡アイーダの繊細な感情をイ・スンジェさんの嫋やかな歌声で表現。
そこにアモナズロが現れ、ラダメスからエジプト軍の秘密を探るよう迫る。祖国と愛との間で苦悩するアイーダ。苦渋の決断で、アイーダはエチオピア王女の立場を取ることに。
💡青山さん演じるアモナズロの威厳のある味わい深い歌声は、物語の世界へと更に引き込んでいきます。
アモナズロが隠れた後、ラダメスが現れる。アイーダは二人で暮らす為に、国を捨て一緒に逃げようと促しますが、ラダメスは躊躇する。逃げることに対し、一度は躊躇したラダメスだったが、ともに逃げないなら「アムネリスのもとへいきなさい」と言われ、逃げる決心をする。
💡オペラでは定番の愛二重奏を、イ・スンジェさん、城さんの表現力豊かな高音で味合うことができました。
アイーダは急に冷静になり、エジプト軍が向かう行路を聞き出す。うっかり口を滑らしてしまったラダメス。そこにアモナズロが突然姿を現し、自分がエジプト軍の秘密をバラしてしまったことを知り愕然とする。
💡3人の想いが交錯する三重唱は、その緊迫感を会場にいる観衆にひしひしと感じさせます。
そこにアムネリスが登場し、「裏切り者!」とラダメスを詰る。しかし、アムネリスに襲いかかるアモナズロをラダメスは制し、アイーダとアモナズロを逃がす。
💡ラダメスのアイーダを守りたいという気持ちが強く感じられる名場面。城さんの華麗な歌声はよりラダメスの感情を引き立てます。
アムネリスはラダメスを死罪にすべきか助けるべきか、思い悩んだ末、ラダメスを呼び出し、アイーダを忘れるよう説得する。しかし、ラダメスは「アイーダの為に死ねるなら本望」と何の迷いもなく断る。裁判の判決は死罪となり、生きながら墓に入れられるという残酷な刑を宣告される。
💡アムネリスのラダメスへの愛と、その気持ちに応えてくれないラダメスへのやるせなさなど、繊細な感情表現を丸尾さんの淑やかな歌声で堪能することができました。
墓の中に一人幽閉されたラダメス。アイーダを思い返しているといるはずのないアイーダが暗闇から姿を現す。アイーダはラダメスと共に死のうと先に忍び込んでおり、ようやく二人の愛は成就する。そこへ喪服姿のアムネリスが現れ、鎮魂の祈りを捧げる。やがてラダメスとアイーダの声も途絶えていき、幕が閉じる。
💡これから死を迎える悲壮感、その中に温かく残る愛、相反する感情が混在する複雑のシーン。城さん、イ・スンジェさんの静謐な歌声が会場に溶け込んでいきます。さらに丸尾さんがカンテラを持って静かに登場し、粛粛とした場の空気感を中橋さんのピアノと共に引き立て、終幕となりました。
大黒屋サロンの特性を存分に活かした舞台構成、登場人物の感情を見事に表現していただいた5人の出演者の方々など、大黒屋オペラでしか味わえない、音の世界観を楽しむことができた音を楽しむ会となりました。
次回の音を楽しむ会は11月26日(火)、ピアノ 阿部海太郎さん、ヴォーカル 武田カオリさんのデュオ演奏です。
どうぞお楽しみに!