2024年4月1日月曜日

2024年4月 梶原靖元・山本亮平展

板室温泉大黒屋では3月29日より大黒屋サロンにて「梶原靖元・山本亮平 展」を開催しております。

梶原靖元さんは、長年、古唐津の復元に向け研究、実践を精力的にしながら、唐津焼きの起源ともいわれる飯洞甕窯跡の近くに当時の唐津の窯を参考に再現した窯を構え作陶しています。古唐津の原料は元来、粘土であるという通説に疑問を抱き、自らの窯跡、陶片などの調査研究を通し砂岩が本来の古唐津の原料であったという仮説を立て、自ら近辺の砂岩を採取し砕いて土をつくり制作を繰り返し実践し実証してきました。今では砂岩が唐津焼きの本来の原料であったことが多くの方に認識されています。古唐津を長年追い求めてきたなか、近年は赤絵や染付の作品作りや手捻りのうつわなど、新たな領域に向かって作陶を続けております。本展では、「李朝民画」「染付民画」「くらわんか」など絵付けのシリーズ、珠洲焼きの作品など唐津焼にとどまらない、様々な作品を展示いたします。



山本亮平さんは、初期伊万里を多く産した小物成窯跡(有田)近くにてご夫婦、平倉ゆきさんと作陶されています。お二人は古唐津時代から伊万里へ移行(白くてきれいな白磁は人気であったため唐津焼は衰退)する狭間にあたる初期万里と言われる(日本で最初の白磁)焼き物に魅了され制作をされています。絵付けは赤絵付工として鍋島焼の窯元に3年間在籍されていたゆきさんが描いています。4年前に完成した自身の土窯は400年以上前の陶工たちが使用していただろう窯を再現完成させ古典の風合いを自身の作品に反映させています。近年は自身も愛飲している中国茶で使用する茶器を多く手がけており、本展でも、茶壺、茶杯、聞香盃、茶海など出品、またお皿、鉢、花器、アルコールランプなど展示いたします。



400年以上前の陶工たちがどうやって作陶していたかを想像しながら、徹底的に、作陶の基本原理、窯作りから焼成方法、土、石、釉薬などの原料の選別を体現し制作を続けているお二人の展示。ぜひこの機会にご高覧いただけたら幸いです。

*梶原作品の、「李朝民画」「くらわんか」の絵付けは伊万里・有田伝統工芸士の村上三和子さんとのコラボレーションとなります。また「染付民画」は梶原さん自身で絵付けをされております。


会期 : 2024 年 3月 29 日 (金) - 4月 22 日 (月) 9:00 - 17:00

会期中の休館日:4月 9日,10日,11日

*展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。

*4月12日(金)のみ13時から開館




2024年3月1日金曜日

2024年3月 對木裕里展


板室温泉大黒屋では、31日より對木裕里展「日々の水やり」を開催いたします。



對木さんは神奈川県生まれ。2009年武蔵野美術大学彫刻学科卒業、11年京都市立芸術大学大学院彫刻専攻修了。2016年の「第11回大黒屋現代アート公募展」にて大賞を受賞し、2017年の個展以来、およそ7年ぶりの個展開催となります。對木裕里は石膏(せっこう)を中心に、さまざまな素材を取り入れた立体作品を制作しています。主に水粘土で原型を作り石膏で型取りをするという、少し手間のかかるプロセスで出来上がります。有機的で不可思議な形状の面白さにパステルカラーによる彩色を特徴とするその彫刻は、一見すると粘土を手で造形したままのかたちのようです。



作家は自身の制作について以下のように述べています。


「当たり前とされている景色の成り立ちに関心を寄せ、自分自身の身体感覚を頼りに物事の根源的な意味を問い直したいと考えています。私にとって、「彫刻をつくる」という行為は、布団で寝たり、洗濯物を畳んだり、食事の準備をするような日常の些細な行為の延長にあるものです。石膏や木材、紙、石、ブロンズ、時には野菜など日常を横断する様々な素材を組み合わせ、物事の意味が転換する瞬間について探求したいと考えています。」

 

本展覧会「日々の水やり」について

「家族がハーブの種を撒いた。大層なものではなく、ベランダでプランターや、ヨーグルトの空きパックを使って甲斐甲斐しく世話をしている。その間、大体私は子どもの世話をしているので、こっちにも手を割いてほしいとは思わないと言えばうそになるが、人にはそれぞれ自分の守るべき領域がある。あるいはそれを孤独と呼ぶ。日々の営みとは、切れ目のなさに意味がある。

イメージはいつも頭に転がっていて、庭の雑草のようによく生える。ひとつ摘んでプランターに植え替えて水をあげてみる。意図的に作られた空き地には何も実らないかもしれないが、絶対的に必要なのだ。頑固に守った不自然な土地。

生活とは積んでは崩しの連続だが、そういった頑なな営みにしか生み出せないドライブがある。生活は計り知れなく、どこにでもある。

制作は生活の中にあり、生活は制作の中に宿る、私たちはそれぞれの孤独を育てていくしかない。

・・・・」

 

 

石膏作品と、張子の制作方法を応用した新作など全30点を展示いたします。

ぜひ、この機会にご高覧いただけたら幸いです。


会期 : 2024年 3月 1日 (金) - 3月 25 日 (月) 9:00 - 17:00
会期中の休館日:3月 12日,13
日,14日



2024年2月26日月曜日

第239回 音を楽しむ会

2月の音を楽しむ会はテノール 上原正敏さん、ピアノ 牧瀬愛結さんによる演奏会でした。

上原さんの甘く伸びやかな歌声が会場に響き渡り、第239回 音を楽しむ会が開幕。

「ゆりかごの歌」では、大切な思い出を優しく呼び起こす、お二人の清らかで暖かい音色に涙する人もいました。

会の後半には、上原さんのトーク力を活かした「オペらくご」も行って頂きました。

演目は「寿限無」。寿限無の名場面でもある、名前を繰り返し読み上げる場面では、上原さんのテノールで培った声の表現力と牧瀬さんの臨場感溢れるピアノ演奏を堪能できました。

歌だけではなく、味のある声とピアノ伴奏のついた唯一無二の落語を楽しむことができた音を楽しむ会となりました。





次回の音を楽しむ会は4月26日(金)、ピアノ 橋本秀幸さんによる演奏会です。

どうぞお楽しみに!

※3月の音を楽しむ会は休演となります。

2024年2月2日金曜日

2024年2月 掘り出し市

   2月2日より大黒屋サロンにて「掘り出し市」を開催しております。



 大黒屋で使用していたもの、金継ぎした器、室礼のものなども販売いたします。
 また、サロンでは大黒屋コレクションも展示しております。この機会に、ぜひご高覧いただけたら幸いです。

会期 : 2024年2月2日 (金) - 2月 26日 (月) 9:00 - 17:00
※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。


2024年1月26日金曜日

第238回 音を楽しむ会

2024年最初の音を楽しむ会は笛方 福原寛さん、囃方 仙波清彦さん、囃方 堅田喜之祐さんによる演奏会を行いました。


歌舞伎の開場と同時に黒御簾で演奏される「着到」で開演。着到は元々座頭の楽屋入を幕内に知らせる役割があったものです。一年の始まりにふさわしく、場が引き締まるような感覚もありました。


数多の芸能に存在する祈りの形「三番叟」。元は地霊を呼び起こし、五穀豊穣を願う曲として広まりました。笛の甲高い音色が地霊を呼び起こすかの如く会場に響き渡り、鼓の音色が村人の踊りのようにも聞こえる、心弾む一曲でした。


篠笛一管による「うぐいす」。庭先の梅の枝からうぐいすの声を聞き、心華やぐ様子を表しています。


木曽路より「春」。この曲は仙波清彦さん作調、福原寛さん作曲の古典的な楽曲に初めて二人で向き合った作品です。四季の美しさ、儚さに思い耽る一曲でした。


新春に欠かせない獅子舞の“寿獅子”と歌舞伎の“獅子”の二題を“音”で体感できる「獅子二題」。縁日に行き獅子舞が舞う様子を見ながら、一年の始まりに高揚する様子が目に浮かびます。


アンコールには「山桜」を篠笛一管で披露。一度は聞いたことがある曲だからこそ、笛の音色の美しさをより一層感じられました。


福原さん、仙波さん、堅田さんの優美な音色を楽しむことができ、2024年も健やかに過ごせそうです。





次回の音を楽しむ会は2月26日(月)、テノール 上原正敏さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみに!







2024年1月12日金曜日

2024年1月 大黒屋コレクション展

  1月12日より大黒屋サロンにて「大黒屋コレクション展」を開催しております。

菅木志雄「通体連継」
磯谷博史「光へ」
 磯飛節子 「巻六目花籠」
上野友幸 「Ikebana Collage -Hydrangea」
山本雄基 「Parallel Circles(Large Void)」
對木裕里 「土地」
宮林妃奈子 「Winterling in the wind」「Danced tree bark」「春に唄う蕪」

大黒屋コレクションの中から菅木志雄、手塚愛子、山本雄基、上野友幸、對木裕里などの作品を展示しております。

会期 : 2024 年 1 月 12 日 (金) - 1 月 29 日 (月) 9:00 - 17:00

※展示は宿泊以外の方もご覧いただけます。