2017年2月19日日曜日

山本雄基 アートを語る会

 現在サロン展示中の山本雄基さんによるアートを語る会が行われました。 
大黒屋での個展は4回目であり、山本さんのファンであるお客様もいらっしゃいました。今回は芸術や絵画の魅力の深いところについて語ってくださいました。


 社会という枠の中で生きるということは通常であれば、多くの物事や人に合わせて普遍的に枠の内側に入ろうとすることがほとんどです。芸術はその社会の枠の端に立ち、外側の方を中に、普遍的なものの幅を広げる役割をしているのではないか、と山本さん。


 絵画の魅力とは何か。現代ではスマートフォンなどでもカメラを使えばボタン1つで画像を切り取ることができます。それに対して絵画は筆で一つひとつ描き、キャンバスや身体の大きさによって描くものも変わり、作者の震えや力なども大きく影響してきます。これによって絵画の中には独自の空間と時間の要素が加わり、見ている以上のものを感じ取ることができるのだと言います。


 山本さんが制作する上でよく出てくるキーワードは
「見える・見えない」 「間」 「グレーゾーン」 「曖昧さ」

「見える」とは不透明ではっきりとした色のついている円、対して「見えない」とは、透明にくり抜いた円のことを指しているそうで、更にこれらの間に透明なアクリル絵具の層を重ねることによって円を複雑に交差させています。この工程により画面に奥行の軸ができるのだと仰っておりました。
 また、明るくやわらかな色調で肯定的なヴィジュアルを入口にした絵には、誰もが入りやすい雰囲気があります。見ている人がこの世界に入り込むことで、今自分がどこにいるのかふわふわした感覚が生まれるのだそうです。この感覚が空間や時間を感じるということではないでしょうか。


 ぜひ、生で作品をご覧になってこの不思議で気持ちのいいバランスを味わってみてください。
 山本雄基展は2月27日(月)までです。