2019年6月4日火曜日

6月 拝宮和紙 中村功 展

6月1日より大黒屋サロンにて「拝宮和紙 中村功 展」が開催されております。


中村功さんは徳島県那賀町拝宮という標高600m、四国の南東部を流れる那賀川の支流に沿った自然豊かな山間地で拝宮和紙の伝統を守りながら制作を続けておられます。


中村さんは楮の繊維質な表情が出たパリッ、ピリッと破れる「寒(かん)」とした紙質にこだわりを持って制作されており、紙漉きをする時期は冬の間、上質な谷水と、原料は自身で栽培している楮【成長が遅く繊維が短いため紙にした時に密度が高い赤楮(アカソ)】を100%使用しています。拝宮の村の高齢化と過疎化問題、暖冬によって楮の成長が早まり赤楮本来の特徴が出ない、動物による自然被害など様々な障害を乗り越えて制作を続けてきたそうです。



江戸時代末期に最盛を迎え、先祖代々受け継いできた拝宮の紙漉き文化。村の小学校が廃校になると決まり、村の未来に危機感を感じた中村さんは27歳の時に紙漉きを始めました。未来への活路があると信じて村のため今日まで活動を続け、今や全国、海外にまで活動範囲を広げておられます。



自然に出た紙の曲がりや楮の繊維に接着力があるため紙がもつれた表情など「自分が全てに手をかけるのではなく紙から自然を引き出して拝宮和紙をどう表現できるか、ということを常々考えながら制作してきた」風土の変化により昔と同じ作り方はできない中で拝宮和紙の文化と実直に向き合い取り組み続けてきた中村さんの和紙からは心地よい手触りと温かみを感じることができます。


本展では伝統的な和紙、原紙、障子紙、紙布、大紙や、桜や柿渋などの草木染め、普段の生活にも使いやすい、便箋、封筒、懐紙、一閑張の花器、敷板、ライトスタンドなどを展示販売いたします。また、楮の皮など素材自体を大胆に活用したり紙を300枚重ねた平面作品など、手漉き和紙ならではのダイナミックな作品群もご覧いただけます。この機会にぜひお越しください。
展示は6月29日(土)まで開催、作家在廊日は6月29日です。
会期中の休館日:6月5,6, 18,19,20日