2018年11月3日土曜日

11月 新里 明士展

11月1日より大黒屋サロンにて新里 明士展が始まりました。
「光器」
新里さんは岐阜県土岐市を拠点に制作を行っており、国内外で展覧会を開催し、最も注目されている作家の一人です。本展では代表作でもある蛍手(ほたるで)の技法を使った「光器」の作品と、青と緑の壁掛けの作品など34点展示しています。



白いうつわ「光器」は透光性の高い白い磁器土を使って無数の穴を穿ち釉薬をかけて制作されています。精緻で技巧的な仕事によって生まれる光の表情は豊かで美しく器自体がほんのりと光っているようです。
青と緑の作品は白い土にコバルトなど金属を混ぜた土を使って制作されており彫刻的な表現になっています。イタリアで滞在制作中に強い色を使いたいと思うようになり日本に戻り作り始めたそうで、新里さんが好きな色でもあるそうです。

緑の形
新里さんは普段は陶芸のギャラリースペースで器を展示することが多いのですが、今回の大黒屋での展示では、新たな展開として彫刻的な作品も含め空間をより意識した展示をしたいという気持ちが強くあり、うつわという用途のあるものづくりや、技巧的な技術だけに頼らない作品としての表現を自身の制作の中に取り入れていきたいと考えておりました。


表現的な焼き物を目指して初めて制作されたという壁掛けの作品がサロン正面にあります。自動筆記のように身体や手の成るがままに作っていくそうで、左から順番に制作過程が追えるように展示されています。偶然性が伴うフォルムは土の質感、色、制作にかかった時間も含め、光る器の対比として見てもとてもおもしろい構成です。

また信楽滞在中に制作した作品「シガラキ」。
大黒屋の空間全体を大胆に使い庭にも置かれた風景はとても新鮮です。
シガラキ
丁寧で美しく理性的な作品や身体全身を使ったアクティブで感覚的な作品など幅広い内容のある本展、新里さん自身曰く「チャレンジした仕事による展示」は見所満載となっています。


作家によるアーティストトークは11月19日(月) 20:00-21:00。
展示は11月29日(木)まで開催しております。紅葉が美しい日が続いております。
ぜひ大黒屋までお運びください。