6月の音を楽しむ会はヴァイオリニスト・音楽家の新村隆慶さんによる演奏会でした。2023年10月以来、3回目のご出演です。
今回はヴァイオリンのみ。その場の空気を感じ取りながら、即興で音を紡いでいきます。
満席の場内には、梅雨特有の湿度と落とされた照明が相まって、心地よい緊張感と少し重みのある空気が漂っていました。
そんな静寂のなか、まるで暗闇に光が差し込むかのように、ヴァイオリンの音色が一音、また一音と鳴り響きます。
最初は調律のようにも聴こえましたが、次第に音が重なり合い、ひとつの美しいフレーズが形成されていきました。こうして音が積み重なる過程を目の当たりにすることで、私たちは音の奥行きや、そこに広がる情景をより深く感じることができるのかもしれません。
始まりがあり、終わりがある曲ではなく、場の空気を感じながら即興的に演奏することで、音が止んだ後も淡い余韻となって、微かに頭の中でヴァイオリンの音色が響いていました。
ルールや様式が厳格な「クラシック」という、少し固いイメージもあるヴァイオリン。しかし今回は、ルーパーを駆使して音をリアルタイムに重ね合わせたり、さらには楽器を膝に据え、琴のように奏でたりと、その概念を覆す試みが満載でした。ヴァイオリンという楽器のイメージが鮮やかに塗り替えられ、その奥深い可能性に誰もが魅了される、まさに「音を楽しむ」という言葉にふさわしい特別なひとときとなりました。
次回は7月26日(日)ソプラノ 横井香奈さん、ピアノ 北村晶子さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみ!