1月18日より大黒屋サロンにて「大黒屋コレクション展」を開催しております。
安永正臣「Empty Creature」
1月18日より大黒屋サロンにて「大黒屋コレクション展」を開催しております。
安永正臣「Empty Creature」
板室温泉大黒屋では12月20日より大黒屋サロンにて「瀬沼健太郎展」を開催いたします。
瀬沼さんは東京都生まれ。多摩美術大学デザイン科を卒業後、 ガラス工房での勤務や非常勤講師を経て、2010 年に東京で独立。現在は秋田公立美術大学准教授として後進の育成に力を注ぎつつ、自身の制作活動にも精力的に取り組み、国内外での展覧会を通じて幅広い支持を集めています。 瀬沼さんの作品は、古陶磁が持つ普遍的な美しさをガラスという現代の素材に写し取り、現代にふさわしい形で再解釈しています。そのテーマの中心には「水」があり、ガラスの透明感や瑞々しさを通じて「水の存在」を問いかけるような表現を追求しています。さらに、制作において自然や偶然性を取り込むことを大切にしており、ガラスの表面や内側を特殊な技法で溶かすことで、陶芸の薪窯での釉薬変化のような予測不可能な質感や表情を生み出しています。こうしたアプローチにより、自然が生む美しい偶然を作品に宿らせる試みがなされています。制作では、ガラスの透明感を活かした作品、曇りのような質感を加えた作品、ダイヤモンド研磨材を使ってざらざらとした白い表情を引き出した作品など、独自の技法が用いられています。これらの作品には、緻密な手仕事と自然の偶然性を受け入れる柔軟な姿勢が織り込まれ、独特の生命感が与えられています。
彼が作品に込めるのは、 静かで控えめながらも見る者に強く訴えかける力です。その背景には、「物が静かに語る」という視点を重視する瀬沼さんの制作哲学が反映されています。秋田に移住して約 8 年。日々の自然の中で得た感覚を制作に反映しています。特に冬の秋田で目にす る雪、氷、霧、水、つらら、海といった「冬の水の表情」に深く影響を受けています。凍る川原や薄氷に映る光、霜が降りる朝の静寂など、冬の自然が持つ一瞬の美しさをガラスという素材で具現化する試みを続けてきました。瀬沼さんにとってガラスは単なる素材ではなく、自然の持つ儚い美しさを結晶化するための「媒介」として存在しています。また、花を生ける行為にも深く親しみ、器と花の関係性を探求しています。自然の花が持つ静けさや動きに調和する器を作ることを意識し、花と器の融合を追求し、その相互作用によって空間全体を彩る「独特の存在感」を創出しています。偶然性を取り入れた表情豊かな器は、花を生ける者の感性と自然の力を融合させる特別な舞台となっています。
2024年最後の音を楽しむ会はピアノ 阿部海太郎さん、ヴォーカル 武田カオリさんによる演奏会でした。
今回の演目...
〜BOTANY〜
Le jardin chez M. Elzéard Bouffier
Hiraku
オオバコ
スイフヨウ
ユキモチソウ
ホウライシダ
ナツツバキ
バイカオウレン
スエコザサ
Havanera de la montagne
〜HOUSE〜
Mirror
Boots
Blanket
Kaleidoscope
Vase
Globe
Amber
〜アンコール〜
Reflections in a palace lake
今回は阿部さんと武田さんが 10 年以上の歳月をかけて共作したアルバム「HOUSE」をメインに演奏して頂きました。HOUSEの12タイトルに綴られる形あるものと、お二人が紡ぐ形のない音楽が表現するのは、架空の女性の慎ましい生活の痕跡。大黒屋サロンで奏でられるお二人の音色は、どこか暖かく、包容力さえも感じ取ることができました。
HOUSEの前に「BOTANY」をテーマに10曲を演奏。連続テレビ小説「らんまん」の挿入曲にもなっている曲は、それぞれに植物に関する名前が付いており、高知県出身の植物学者である牧野富太郎の人生を表現しています。
「スエコザサ」はモデルになった牧野富太郎の妻である壽衛の名前が付けられた植物。冬に氷点下10度から20度になっても芽を残して生き残る力強さと、葉のしなやかさ、柔らかさ、美しさが壽衛の姿と重なる部分があると植物研究者はいいます。阿部さんの作曲した「スエコザサ」からも清淑で嫋やかな音色を堪能することができました。
これまでのピアノソロから一転、場を引き締めるかのような第一声で始まったアルバム「HOUSE」の演奏。
緊張感もありながら、耳や心に真っ直ぐ入ってくる武田さんの澄み切った歌声は会場にいる聴衆を一気に二人の世界観へと引き込みます。
「Amber」の直訳は琥珀となりますが、石言葉が幸運の象徴、優しさ、愛というお守りにもよく使われる石として知られております。阿部さん、武田さんが表現するAmberは子守唄のように、安らぎ、安心を与えてくれる一曲でした。
アンコールには「Reflections in a palace lake」を演奏。有名な曲なだけあって、曲に集中することができ、生音の奥行き、重さを体感することができました。
クラシカルでありながらじんわりと耳に馴染んでいき、心が温まる阿部さんのピアノの音色と、独特な雰囲気もありながら清澄さも感じられる武田さんの歌声に聞き入った音を楽しむ会となりました。
※今回、より音を楽しめる空間を作るために、音響設備の提供や本番中のオペレーションなど“Little Nap COFFEE ROASTERS”でバリスタも手掛けながら、DJとしても活躍されている濱田大介さんにもご協力頂きました。
次回の音を楽しむ会は2025年1月、三味線 佐藤通弘さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみに!
※2024年12月は休演です。
板室温泉大黒屋では11月1日より大黒屋サロンにて宮林妃奈子展「うみの背中」を開催いたします。
北海道出身の宮林は幼少の頃から絵画教室に通い絵を描くことが常に生活の一部でした。絵を通じて感性を育み独自の世界観を形成する中で、自然と絵画への情熱を深めていきます。その後、多摩美術大学を卒業し、東京藝術大学大学院に進学。さらにベルリン芸術大学でも学び、2023年にマイスターシューラーを取得しました。現在も東京藝術大学大学院絵画科に所属し、国内外での経験を通じて表現を深化させています。
宮林の作品は、オイルペインティングを中心に、コラージュやさまざまな描画素材を用いて独自の視覚世界を展開しています。彼女は自身の絵画を「レイヤーではなく粒の重なり」として描くアプローチを取り、粒が積み重なる意識で作品に深みとリズムを生み出しています。この粒子は単なる構成要素ではなく、時間と空間を同時に刻むもので、彼女の絵画が固定的なものではなく、常に動的で生きた空間を感じさせる要素となっています。高い抽象性を持ちながらも、純粋な抽象絵画にとどまらず、その根底には確かなリアリズムが流れています。また、常に「風を描く」という意識を持ちながら制作に臨み、自然の微妙な変化や目に見えない力を描き出そうとしています。かつて宮林は「雪が降る様子が、見えない遠くまで層のように広がり、自分の描きたい空間と似ている」と語っており、こうした自然界の現象を多面的に捉え、時間や空間を超えて表現することが創作の核となっています。幼い頃から親しんできた自然や風景を「絵」として描き取る感性と深く結びついているのです。
本展では、主に宮林が2024年に制作した新作約20点を展示いたします。具体的かつ詩的なタイトルと抽象的な表現が絶妙に交差し、画面に流れるリズムが鑑賞者に豊かな感覚体験を提供します。それぞれの作品は、鑑賞者が自由に解釈し、個々の経験を投影できる余白も残されており、時間を超えた深い思索の余地を感じさせます。大黒屋では初めての個展となります。展覧会「うみの背なか」にて、宮林妃奈子が描き出す世界観を晩秋の板室温泉にてご高覧いただけたら幸いです
会期 : 2024 年11月1日(金) - 12月1日 (日) 10:00 - 17:00
次回の音を楽しむ会は11月26日(火)、ピアノ 阿部海太郎さん、ヴォーカル 武田カオリさんのデュオ演奏です。
どうぞお楽しみに!