まずやきものの歴史になぞらえて「伝統と創造」「日常と非日常」について語ってくださいました。
サロンには縄文土器を思わせる花器が並んでいます。やきものの発祥は、日常の生活の器からだと思われがちですが、もともと器として使われているものには木で作られたものが多かったようです。それに対して、日本においてやきものの原点と言われるのが縄文土器。これは生活のための器ではなく、神器、祭具として作られた非日常の器でした。
この非日常こそが芸術の原点である、と松田さんは言います。
大学生のとき、アメリカで自由な作風が進出する大きなムーヴメントがありました。発想の転換にたいへん驚き、影響を受けたといいます。日本では伝統があるばかりに新しいことはできず、枠の中でものづくりをすることしかできませんでした。
現在の松田さんの作品の独創的な形、絵付には個性があふれていますが、九谷の伝統的な手法が用いられています。伝統と創造の両方を併せ持つ作品は松田さんの特徴であり、日常で使うものにもある種の非日常的な魅力を感じさせます。
作陶するにあたり葛藤や迷いは尽きず、答えがないということを受け入れて制作していると話す松田さん。作り手が感動しないものは人の心を動かすことができません。受け手との響き合い、関係を大事に、これからも作り続けると意気込んでいらっしゃいました。
松田百合子 陶展は4月29日(土)までです。どうぞお運びくださいませ。