作品制作の信念として「切り取ってみる」ことを大事にしている瀬沼さん。「観察」と「技術」が重要だといいます。
「身体の動きの痕跡がガラスに残っていく」ことで造形される器。
「綺麗に動くと綺麗にできるんですよ。すぐに形ができるのではなく繰り返し繰り返し素材との折り合いをつけてなじむのを待つ感じ。ガラスがなるように、なるように。抑え込まないようにしています。醸すといいますか、種をまいてそうなるのを待つような。」
「作っている時、ガラスは1300℃の水飴状になっていて直接は触れません。重力や遠心力を駆使しながら形を作っていきます。」
「陶器は大地、竹籃は風だとするとガラスは花にとって『水』だと思います。花を生けることで自然の空気感、湿気のような瑞々しさを表現したいのかもしれません。」とガラスと花の関係についてお話をした後、実際に花を生けていただきました。
「器と花の調和を目指して生けます。器の口は波紋のイメージで、花を高く生けて軽くしたいですね。花は野にあるように。」
「伝統的に学び伝えることも大事で、型を繰り返すことで見えてくるものもあると思います。しかし入口が形から入ることに僕は違和感を感じました。もったいないなと。身の回りの風景を自分で見て感じて生けることが大事だと思います。」
「作ることは確かめること」と語る瀬沼さん、最後に〇△□に言葉を入れて表現していただきました。
○わ △へん □ムロ
【わの中でへんをムロで醸す】
「わ(環、和)」=自然界の循環や調和のこと。
「へん(欠片)」=自然から切り取った形、つまり花。
「ムロ(室)」=「ガラスの器」で醸す。
瀬沼健太郎さんの展示は7月30日(月)まで行われます。どうぞお運びくださいませ。