今回の演目...
盤渉調調子
陪臚
平調調子
常世
etc...
会のはじめ、石田さんより「雅楽は人から人に向けて演奏されるものではなく、人から自然に向けて演奏されるもの」「音楽から何かメッセージを受け取ろうとするのではなく、余白から自由に感じ取ってほしい」とお話がありました。
静寂の空間の中、ピアノの音色が一音一音鳴り響きます。
会場後方から笙の神秘的で優婉な音色がゆっくりと近づき、雅楽の世界へと引き込まれていきます。
所感や印象といったものを形のない「温度感」でイメージする笙と経験や思い出といったものを形ある「記憶」としてイメージするピアノ。雅楽とクラッシクという、東洋と西洋の和洋折衷の音楽は聴くものを魅了します。
【 陪臚 】
この曲は1300年前からある曲で、戦勝祈願の曲として知られております。様々説はありますが、聖徳太子が戦の前の景気づけに演奏した曲とも言われており、心なしか力漲る曲でした。
【 常世 】
「日本の風景は天国みたいなもの」と仰った折口信夫さん。常世を理想の世界とみなしつつ、人々が現実世界(現世)に留まることの「愚かさ」を論じています。常世という曲は息子さんが幼い頃に書いたメモの文字をそのまま歌詞にした曲で、言葉ではないけれども、ただの音でもなく、心地よく耳に入ってくるその音色は、世の中にある物事の境界をあいまいにさせる感覚さえありました。理想と現実、事実と解釈。現代の言葉の価値や意味を考えさせられる一曲でした。
時代が進めど、変わらず受け継がれていくもの、そこに新たな解釈を組み合わせることにより、独自の世界観が生まれる。お二人が織り成す雅楽の世界観を通して、音楽の温故知新を体感することができた音を楽しむ会となりました。
次回の音を楽しむ会は2026年2月26日(木)テノール 上原正敏さんによる演奏会です。
どうぞお楽しみに!
※2025年12月26日(金)、2026年1月26日(月)は休演です。




